第2章 第1話 学園戦争開戦!
「どうして、莉音は、そこまで自分を犠牲にするの?」
真剣な顔で、苺ちゃんが私に問うた。
そっか……まぁそうだよね。なるべくわざとに見えないようにしたつもりだったけど、ちょっと爪が甘かったかな。
「えっと……それ、はね……ゴホッ」
「あ……もう!無理して喋ろうとするから!苺ちゃんも、少しはタイミングを考えて!」
正直まだ、普通に話すのは辛い……ちょっと内臓へのダメージが大きかったからかな?けど、今はそんなこと言ってられない……
「ううん……苺ちゃんは、正しいよ……あのね、私ね……」
多分、この続きを言った瞬間から始まってしまう。でも、大丈夫。前は1人でなんとかしなきゃいけなかったけど、今は違う。
「気づいてたの……学園を滅ぼそうとしてる……集団の作戦に」
ピシィッ
空間が割れた。突如現れたそれは、一瞬にして広がっていく。
「そして……ずっと監視されていたことに!」
もう怖くないよ。だって、こんなに素敵な仲間達がいるんだもん。
「いやはや。まさか監視にまで気づかれていたとは思いませんでしたよ」
その声は、ひび割れた空間の向こう側から聞こえてくる。私はその声は聞き覚えがあった。
「やはり、あなたの仕業でしたか」
私の言葉を待っていたかのように、パリィンとガラスが割れるような音とともに、目の前の世界が崩れ落ちた。
「ええそうですとも。それにしても、自分のことは大丈夫なのですかね〜」
「私のことは、いい。それより、何が目的なのですか」
少しずつ、話すのが楽になってきた。まだ動くのは辛いだろうけど……
「ククククク……目的なんてあなたに教えるわけが無いでしょう?それに、忘れてはいけませんよ。今、あなた達の命は私の手のひらの上であることをお忘れなく」
不気味な笑い方だ……気持ち悪い。
「そう……じゃあとっとと始めた方がいいんじゃないの?皆崎先生」
「おやおや〜、気づいてたんですね。なら話は早いでしょう?桜崎 莉音」
皆崎先生……いや、もう皆崎か。こんなやつは先生じゃない。それに、こいつの目的、ちょっとわかってるから、尚更こいつらの計画を阻止したい。
「ククク……それでは始めようではありませんか!」
歌うように、皆崎が高らかに宣言する。
「学園戦争を!」
刹那、世界が真っ赤な負の感情で染まる。そうか……敵は、こいつらだけじゃないのか……
「愚かな執行部への!反逆を!!」
私達の敵は……この学園全てだった───




