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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
最終章 第2次終末戦争編
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最終章 第99話 残り半分の敵

 莉音が殲滅を始めてからわずか1時間で、地面が真っ赤に染まるほどに敵の鮮血が戦場に降りかかっていた。莉音自身も、返り血を受け続けて体の所々に赤い色が付いていた。

 敵が減る速度は、時間が経つにつれて落ちていくはずだが、1時間では落ちるどころか加速度的に上がり続けていた。それでもなお、敵の数は見た目では減っていることが分からないような状態だった。


「くそが!なんでこうも一方的なんだよ!!」

「…………この夜も……私がもらうよ」


 どこからか聞こえてきた敵の悪態に対し、莉音は静かに答えた。

 2日連続夜の戦いで蹂躙され、たった1人の、さらに見た目の幼い少女に完全に戦場をかき乱されていることへの悔しさや焦り、暗闇での戦いでの立て直し能力の欠如。これ以外にも、敵が持っていた多数の要素が余計に敵を追い詰めていた。

 何か戦場の空気自体を変えられる者、少し前に現れた3人のような人を敵は求めていた。

 だが、それはもう叶わないような状態にあった。もちろん、ディナーガはこうなったときのために伏兵を何人も用意していた。それも、さっきの人たちよりも実力を持った対魔剣使い達を。しかし、莉音は助けに入ろうとしていたその人たちもろとも殺しており、もう司令部の人と最初からこの戦場にいる人だけになっていた。


「うん。まだこの魔法の戦い方、忘れてなかったみたい。よかった」


 夜の間一通り暴れ回り、月の光が弱まって遠い空が微かに白みだした頃、莉音は初めて足を止めた。

 莉音の周りは死体とそこから出ている死肉で溢れていた。


「この辺は血がちょっと薄いからここに着地しよっと……あれ?」


 莉音が地面に触れた瞬間、その周辺直径1メートル程の範囲にあった敵の残骸が水色の魔力に変換されてそのまま空気中の魔力に変わった。この現象は、前に使用したときには発生しなかったものであった。


「……そっか。もしかしてこれが……私の全力?」


 あり得ない量の血が付いた両手を見つめていると、地面と同様の現象が起こり始めていた。このことから、戦い続けている間は起こらなかったが、止まった瞬間に発生したことが、莉音視点で理解できた。


「まだ、たくさん敵残ってるし、あいつもちゃんと殺さなきゃ……」


 敵の数が、戦争開始時の半分以下にまで減っていた。減らした数の内ほとんどの敵は、莉音によって減らされており、かつその半分はこの夜殺された数であった。

 そしてまた、莉音は敵に向かって駆け出した。限られた時間で全ての敵を殺しきるために。







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