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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
最終章 第2次終末戦争編
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最終章 第93話 戦況を変えた夜襲

 心は莉音に連れられ、暗闇の中をゆっくりとした足取りで歩き始めた。夜という暗闇に包まれた戦場では、足音を立てることすら情報的優位を与える原因となる。

 今、莉音の位置を音から判別することは敵視点では不可能であり、莉音視点では敵の位置を音から探ることが容易だった。莉音にとって、この戦いの唯一の不安要素は心が夜戦慣れしていないことだった。


「ちっ……こんなに暗くなれば、あの金色を簡単に見つけられるって思ってたのにな。見失っちまった」

「おいおい、偵察班がそんなんで大丈夫なのか?」

「逆に聞くが、夜中に出たゴキブリの位置を、光を使わずに見つけられるか?今やってるのはそんな感じのことだ。それに、あいつは魔力探知をかいくぐってきやがる。ほんと、やっかいだぜ」

「そうかよ。まぁいいよ。俺も責めるつもりで言ってるわけじゃねぇしな。お前達のお陰で、昼間に戦闘に割ける人員が増えてるんだ。それに、今まで夜襲を仕掛けてこなかったってことはそもそも頭にねぇ可能性もある」

「うんうん。確かに、ここにいる人は少ないね」

「だろ。相手が……」

「やっほ~。ちょっと失礼するよ」

「なっ……!」

「いつからいやがった!」

「う~ん。さぁね」


 偵察部隊と考えられる数人を、一瞬で闇に飲み込むようにして殺した後、少し後ろにいた心が若干引き気味にうわぁ……と言った。


「容赦ないのね……」

「うん。それに、この力は夜の闇が隠してくれるからなんのためらいもなく使えるし」

「あ~……でも、どうしてここに来たの?他にも偵察部隊はありそうな感じだけど」

「この場所の偵察の人が、一番魔力探知に長けてたからかな。さっき消した人の探知網はかなり密になっていたし、なにより私たちが使ってる魔剣を探知することを専門にしている感じもしたし」

「そ、そんなことまで考えてたのね……さすがは莉音」

「えへへ……ありがとう、心。でも、まだ魔力探知は別の人が行ってるし、ここにとどまってると交代しにきた人と鉢合わせするから、一番近くの偵察隊を叩きに行くよ」

「分かった」


 莉音と心はまるで、過去に日本にいたとされる忍のような動きで次の偵察隊がいる場所へ行き、声を上げさせる間もなく殺しては次の場所へ。という風にして、最小限の力で偵察隊だけを狩り続けていた。

 一通り狩り終わった後、休んでいるであろう敵軍の中心に2人で突っ込んだ。戦闘開始時以来の奇襲攻撃。ほとんどの敵の頭の中から消えていたせいもあり、この奇襲は完全に成功と言えた。

 夜が更け、日が昇り始めた頃には、1億~2億の敵が消し炭、または消滅していた。







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