最終章 第67話 町と人と剣と
魔剣が覚醒して目が覚めた時、右手に1本の剣を握っていたの。周りは燃えさかる火で囲まれていたけど、魔剣はそれを吸収して力に換えようとしているように感じた。それで、その力を私の中に流し込んでくれているようだった。
「……何……これ」
『私を使いなさい。必ずや、あなたの役に立とう』
「え?誰?!」
『私は雷電煉獄。8振りある魔剣がうち第3の魔剣』
「魔剣……?どうして私に?」
『神からの加護。私からは、そうとしか言うことができない』
これが、私と魔剣との出逢いだった。
それから私は、瓦礫の山になった孤児院を見ながらゆっくりとその場所を離れた。孤児院のことをあまり見たくなかったと言うのもあったけど、なんとなく、早く離れなきゃだめだって感じたから。
だからって、どこに行こうとかは何も考えて無くて、孤児院に戻る前と同じような道を移動して、偶然見つけた少し大きな町に立ち寄ったんだ。その町にはまだ人がたくさんいて、戦争が終わるまで必死に生き延びようとしていた。助け合い、支え合い、全員で生きてた……だからそこにいた人は皆、外から入ってきた私に優しくしてくれた。
「……どうして私なんかを助けてくれるんですか?」
「はぁ?あんたこの期に及んで何言ってんださ!今は生きてること以外関係ないんさ」
私は、町に入ってすぐに私を助けようと家に入れてくれた人に聞いたの。あの時の私は、孤児院以外で魔力持ちを受け入れてくれる人はいないって思い込んでいたから、利用されるだけじゃないかとしか思えなかった。
でも、違った。彼らは、ボロボロになっていた私の傷を手当てしてくれたし、食料を分け与えてくれた。それに、私のことを受け入れてくれた。町の一員だって言ってくれたんだ。
そんなこんなで町に少しの間滞在してたんだけど、敵に攻め入られちゃったの。町の人たちは武装して立ち向かおうとしてたんだけど、魔法相手じゃどうにもならなくて、私は初めて魔剣を自分の意思で抜いたの。その後は……まぁ、普通に撃退できたんだけどね。少し距離置かれちゃって……だから私はその町から離れることにした。
その町を離れてからは……いろんな場所を転々としてから、少し大きな町に入った。それまで通った場所は、荒野とか、人が誰もいなくなってしまっていた村や町……燃やされた森とかもあったかな。
その町はまだ活気があったし、魔力持ちだけが住んでいる町って言う感じで、自分たちで町を護り続けていたって言う場所だった。
その町で私は、苺と再会したんだ。




