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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
第4章 学園序列戦
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第4章 第47話 妖精族の現実

 遙か昔、妖精族は開闢戦争に巻き込まれて滅んでしまったという記述だけが残されており、それ以降は、妖精族に関する記録は残っておらず、存在の確認ができなかったと言う理由から、世界は妖精族の絶滅を確信した。

 だが、この記述を残したのは神獣達であり、記述そのものへの否定は行われたことがなかった。例えば、神獣達が妖精族をかくまうために記述を残したのではないか。のような。



 現実。

 妖精族自体は、森を介して現実と繋がっている場所、わかりやすく例えるならば、平行世界と呼ばれるような場所に避難していた。世界そのものは神獣族が交代で維持しており、妖精族はその世界の中で人と必要以上に関わることをせず、静かに暮らしていた。

 妖精族自体の寿命は個体によってまちまちだが、平均的に20年であり、最年長とされる長老ですら250年であったという。

 妖精族は神獣族に護られるような形で生存していたが、ある日を境に妖精族の人口が減少を始めていた。そのほとんどの原因は不明であり、妖精族がほとんどいなくなった今でも解明されていない。現在、あの世界に住んでいた妖精族も、その世界を護っていた神獣族も全滅しており、解明しようにもできないというのが正しい。





・・・




「……これが、私の知ってることの全てだよ」


 話し終えた莉音は、1つ溜息をつくと、星空を数秒見上げてから玲奈の方を見た。


「このことを話しても私に何も起きてないから、呪いがなくなってるのは本当みたいだね。ちょっと複雑」

「……でも、どうして莉音は、最後の妖精なの?」

「あれ?え?あ、そっか」


 莉音は少し考えてから、玲奈に理事長室に行くことを提案した。これから話す内容は、明るい場所で説明した方がわかりやすいと判断したからだ。


「散歩はもういいの?」

「うん。十分。それに、こんな場所だと説明しにくいし」

「そんなに機密性の高いことなの?」

「機密性というか……実際に説明すればわかるというか……」

「??」


 恥ずかしそうに目をそらしている莉音を不思議に思いつつ、玲奈は莉音を連れて理事長室に向かった。

 夜も遅い時間と言うこともあり、校舎の入り口には警備員が2人立っていたが、玲奈がいたため特に何も言われることなく入ることができた。


「うわぁ~、真っ暗」

「時間が時間だからね~。あ、ここだよ」

「ありがとう。あ、失礼しま~す」

「そんなにかしこまらなくてもいいわよ」

「それはそうだけど……わっ……!」


 しばらく暗闇の中にいた莉音にとって理事長室の明かりは眩しかったせいか、右手で目を軽く隠して、目が慣れるのを持った。


「あ、ごめん大丈夫?」

「う、うん……あ、慣れてきた」

「そう?それじゃあ、さっきの話の続き、してもらってもいい?」

「わかった。それじゃあ――」


 莉音は数度深呼吸をしてから、服の前のボタンをゆっくりと外し始めた。






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