第1章 第26話 集合!執行部
「え……?」
私は頭の中が真っ白になった。苺の元々の声が小さいせいであまり響いてはいないようだったけど、それでも1番聞かれたくない人には確実に聞かれた。
「いやいや、いくら英雄だからって1人で魔剣3本はおかしいでしょ。ねぇ、莉音」
「う……うん。そう、だね」
生徒会室から10メートル程の場所に私と心は立っている。なぜ進まないのか。それは、生徒会室の前に立っている人が理由だった。
「ん?どうしたの?顔色悪いよ」
「え?だ、大丈夫だよ。ただ……」
「ただ?」
私はその先を言葉にすることをためらった。いつもなら……なんて机上の空論だろうな。いつもと変わらない。ただ逃げただけ。
「あ、玲奈のこと気にしちゃってる?まぁ仕方ないか〜。それに関しては私も悪かったよ。急に連れ回しちゃったし」
違うんだ、本当は。もしかして、心は気づいていないのかな……それとも、気づいてても気づいてないフリしてるのかな……わかんないや。
「まぁ、そんな感じ。でも、これに関しては心は何も悪くないよ。悪いのは、私……」
だから、私は曖昧な回答ばかりを重ねてしまう。結局、私の口から言えてないんだよね。甘えちゃってるのかな……玲奈にも、将にも……苺ちゃん、心にも……
「いやいや。莉音は抱え込みすぎなのよ。もう少し周り頼っちゃいなよ。私、莉音の相談ならなんでも受け付けてるよ!」
「それ、玲奈にも言われたよ」
「え!?そうなの!?くっそ〜、先越されてたか〜!」
留まったまま、私達は話していた。心は相変わらず騒がしい感じだけど、一緒にいて落ち着けるから不思議だ。どうしてかな?今はまだわかんないや。
「あれ?玲奈入ってった」
「え!?あ、ほんとだ!私達も行こう!」
わずか10メートルがもどかしくて、少し走ってしまった。廊下は走らない主義だったのにな〜。まぁ、仕方ない仕方ない。今日ぐらいは許されるでしょ。
楽観的すぎると言われたらそこまでだろう。でも、今の私にはこれくらいがちょうど良かった。変に意識しないでいいから。
「ねぇ……心から入ってよ……」
「ん?別にいいけど…今日本当にどうしたの?どこか具合でも悪いの?」
「そんなことないよ。大丈夫……」
生徒会室の目の前で、私はまた怖気づいてしまった。でも、心の私を見る目に疑いの色はなく、むしろ心配までしてくれていた。
「まぁ、辛かったらいつでも言ってね。それじゃ……心!ただいま見参!」
「た、ただいま〜」
中はさっきの叫び声が嘘かのように静まり返っていた。そして、苺は興味の篭もった目を。将はいつも通り無機質な目を。玲奈はあからさまな態度にはしなかったものの、微かな怒りの篭もった目を、私の方に向けていた。
「……え?」
え!?何?これ私だけアウェイな感じ?だとしたら辛いな〜……




