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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
第4章 学園序列戦
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第4章 第41話 莉音が生きる理由

「さて、このあと2人はどうするの?」

「う~ん……特に決めてないですね」

「私も。でも、正直このまま部屋に戻って寝たい」

「あ~、魔力套使ってたもんね」


 夕食を終え、食堂から出た4人は歩きながらこの後について話していた。


「あれはもうなんと言いますか……体内の魔力全部出し切っちゃう感じなので、明日起きれない気がします」

「同じく。ていうか、もう今既に……」

「あはは。戦いが終わってから大分時間が過ぎてるから、脳が落ち着いてきてるんだと思うよ。それなら、もうここで解散して各々の部屋に戻った方が良さそうだね」

「それじゃあ……って、うわっ!」

「あ、ちょっ、2人とも大丈夫?!」

「だ、大丈夫……です」


 まるで意識の糸が切れたかのように、瑞羽が華にもたれかかった。華は急なことだったせいで体勢を崩したが、偶然横に立っていた心が支えたため幸い倒れずに済むことができた。


「この様子だと、起こさない方がよさそうね」

「はい……そうですね」

「華も疲れたわよね?私が代わりに運ぼうか?」

「あ、いえ。同じ部屋なので大丈夫です。それに、私たちの部屋ここからあまり遠くないので」

「そっか。じゃあ、瑞羽さんのことは華さんに任せて、私たちも部屋に戻ろっか」

「そうね。それじゃあ、2人ともお疲れ様」

「はい!今日は本当にありがとうございました。お疲れ様でした!」

「うん。私たちもいいもの見せてもらえたからね。ありがとう……あ、そうだ」


 瑞羽を背負った華と別れるとき、何かを思い出したかのように莉音が振り返った。


「またいつか、戦いましょう。お互い、全力で」

「……!はい!」


 莉音の言葉を聞いた華は、嬉しそうに大きく頭を下げてから、自分の部屋の方に向かって歩き始めた。


「……莉音、本当にいいの?」

「え?何が?」

「ほら、最後の。『戦おう』って」

「あはは……どうだろうね」


 莉音は歩きながら、真っ暗な夜空を見上げた。


「私にはもう少ない時間しか残されていないけど、みんなにはたくさんの時間がある。その間に強くなったり、悲しみや苦しみを経験したり、いろんな事が起こる。本当なら、その過程をちゃんと見守ってあげたいんだけどね」

「莉音……」

「だから……そのための『またいつか』だよ」


 莉音は少し悔しそうにしながら、ゆっくりと話し始めた。運命に向き合い、それを受け入れることを決めた、その覚悟を。


「もしみんなが私を忘れていても、私は忘れない。またいつか戦おうっていう『約束』を、ずっと胸の内に置いておくの。そうすれば、私は私でいる事ができるし、私に出逢った人全員が悲しい結末と戦う必要もなくなる」


 莉音は強く前を向き、その覚悟を言葉にした。


「私は、いつまでもこの世界と戦い続ける。そのために今、生きてるんだから」







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