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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
第4章 学園序列戦
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第4章 第38話 4人の会合

「えっと……なんか蚊帳の外にしちゃってごめんね?」


 莉音は、瑞羽と華の方を見てから、少し申し訳なさそうに頭を下げた。


「あ、いえ……その、助けてくれてありがとうございます」

「わ、私も、ありがとうございます。あの時は頭に血がのぼっちゃってて……」

「あはは。それはしょうがないよ。正直、私もむかついたし」


 莉音の言葉で我に返った2人に、心が苦笑いを浮かべながら近づいた。


「だとしても、あれは少しやり過ぎな気がするんだけどね?」

「え?そう?ちょうどいい教育になったと思ったんだけど……」

「『教育』って言っちゃってる時点で、やり過ぎなのは確定なんだけどね」

「あ、あの!」


 完全に説教状態に入っていた心と莉音の会話に割り込むように、華が声を上げた。その声が想像以上に響いてしまい、また変な形で4人は周囲の視線を集めてしまった。


「あ~……話の続きは寮の食堂でしよっか」

「そ、そうですね!」

「賛成です!」

「それじゃあ今すぐ行こう!」


 4人は逃げるように、少しずつ茜色に染まり始めている道を歩き始めた。学苑序列戦期間だからこそ使える、不特定多数の人間を合法的に自信の隠れ蓑として扱える場所へ――なんてかっこいい言葉で説明しているが、目的地はただの食堂である。


「そうだ、自己紹介がまだだったね」

「「「今?!」」」

「え?あ、う~ん……食堂に着いてからしよっか」

「むしろこの状況で自己紹介を始めようとすることを問い詰めたいんだけど?」

「さすがに落ち着いてからに……してほしいです!」

「お、同じく……!」

「そっかそっかごめん。まぁ、あと少しで着くと思うけど」


 なんて他愛のない会話を挟みながら、4人は夕食時で賑わっている食堂に逃げ込んだ。


「とうちゃ~く!2人とも好きなもの選んでいいよ。今回は私のおごりだから」

「え?!そんな申し訳ないですよ!」

「私たちは大丈夫ですので」

「まぁまぁ。ここは言葉に甘えておごらせてくれないかな?素晴らしい『戦い』を見せてくれたお礼に、さ」

「えっと……」

「その……」

「……あ、もしかして私、相当怪しいことしてる?」


 初対面の人から急におごると言われ、その理由が「お礼」だと言われる。瑞羽と華の様子を見た莉音は、客観的に自分がしたことを考えて、「怪しい人」という結論が出てきた。


「うん。正直怖いわよ」

「ちょっ、心?!私はただ……!」

「はいはい、わかってるから大丈夫よ。それじゃあ私は遠慮なくこれで!」

「え!?なんでこ……あ~、もう……いいよ。心もおごってあげる」

「さ、お2人さんも遠慮せずに!」

「え?あ、えっと……それじゃあ、これを」

「私は、これで」

「了解。買ってくるからちょっと待っててね」


 なんだかんだ3人分の夕食を買うことになった莉音は、食堂のおばちゃんから軽い冷やかしを受けながら注文を済ませたのだった。






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