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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
第4章 学園序列戦
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第4章 第24話 穏やかな時間

 あの後、変なテンションになって収拾がつかなくなった心をどうにか寝かせつけた莉音は、少し溜息をついた。


「少し……はしゃぎ過ぎちゃったかな」


 布団の中で今日のことを振り返りながら、莉音は思わず苦笑いをした。自分で思い返せば思い返すほど、今日の自分が普段の自分からかけ離れていると感じてくるから。


「でも……良かったかも。少し疲れちゃったけど」


 いつもと違う疲労感のせいで、莉音の意識はすぐさま眠りの海に落ちていった。




・・・




「んっ……あ、朝……」


 莉音は、カーテンの隙間から差す光で目が覚めた。まだ眠気が残る体を起こすために、軽くのびをしながら心の方を見た。


「あ、心まだ寝てる……ってことはまだ早いのかな?」


 いつもなら既に起きている心が寝ている姿が少し面白くて、莉音は少しの間眺めていた。


「ふふっ。可愛い」

「……んぅ~……ゆ?」

「あ、起きたんだ。おはよ~」

「おはよ~……起きてたんだ」

「ついさっきだけどね。というか、心本当に朝強いんだね」

「ん?うん。だいたいこの時間に起きれるよ~」


 寝起きとは思えないくらいしっかりとした会話をしながら、心は布団を綺麗に整えた。


「というか、莉音も寝起きは良い方じゃない?いつも起きてすぐ動いてるし」

「う~ん……今はそうなんだけどね~。昔は朝本当に弱かったよ?獅子宮に毎日たたき起こされてたし」

「獅子宮にたた……それ本当に大丈夫だったの?」

「うん。最初の頃は吐血しちゃうこともあったし、四肢のどれかの先端部分がなくなっちゃうこともあったけど、確実に起きることは出来たし、寝ずに体を休めることもできるようになったし」

「とけ……え?」

「結構な荒療治された感じだけど、私は今も生きてます」


 莉音は無邪気な笑みとともに、心に向けてピースした。心はそんな莉音を見てもう呆れることしか出来なかった。


「う~ん……めちゃくちゃというかなんというか」

「え?何が?」

「なんでもない!ただ、莉音と過ごしてると普通って何だっけ?ってなるな~って思っただけ!!」

「えっ?!それってどういう――」

「さぁご飯作ろ!せっかくだし、莉音も一緒に作るよ!!」

「あ~!また逃げた!なんでそうやってすぐ逃げるの~!!」


 急いで寝室から出た心を追いかけるように、莉音も飛び起きるようにして布団から出た。その後は2人で本当に他愛のない会話を交わしながら朝食を作った。


「よっし、食べよ食べよ~!!」

「うん!ただ、ちょっと不安だな~」

「大丈夫大丈夫。私も一緒に作ったんだから」


 莉音と心は食卓に料理を並べ終わった後、二人で一緒に席に着いた。


「「いただきま~す」」


 時計の短針が丁度7の数字を指した時、2人の穏やかな声が響いた。






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