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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
第1章 白夜学園編その①
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第1章 第21話 自問自答の答え

昨日は誠に申し訳ございませんでした。

予約投稿の設定を忘れてしまっていたため、20日に2話、昨日0話更新となってしまったことをお詫び申し上げます。

このようなミスをこれからもしてしまうと思いますが、これからも本作をよろしくお願い致します。

「さて、何があったのか説明してくれない?」


  私は理事長室に連れてこられ、今正座させられている。いや、まぁ説明も何も今回に関してはあっちが悪いでしょ。いきなり喧嘩ふっかけてきて。


「う〜ん……そろそろ本気で怒るよ」

「ご、ごめん!でも、正直今回はあっちが先に──」

「私が怒ってるのはそこじゃない!」


  私はその先を言葉にすることが出来なかった。


「どうしてなの!?どうして!」

 

  それは、怒ってる玲奈を見るのが初めてだったからじゃない。


「どうして……あんな自分の首を絞めるようなことしたの?」


  そんなことを涙を流しながら言われて、言い訳じみた自分勝手な言葉を口にしようと思えるのだろうか。


「……わかったよ」

「え?」

「今から言うのが、私が本当に思ってることだよ」


  ほんと、玲奈には敵わない。何を言われても、何をされても言わないと思ってたはずなのに、一瞬でそんなくだらない覚悟を蹴散らした。


「実は私ね……」


  1人だった時に何度も口にした言葉。ずっと自問自答し続けてきたのに、答えを出すことは愚かそれに近づくことさえ叶わなかった疑問を、今、初めて他人にぶつける。


「自分が死んでるんじゃないかなって思ってる」


  自分でもびっくりするくらい自然と出てきた。


「昔、あの戦場でほかの兵士たちと同じように、私も死んだんじゃないかって」


  少しずつ、でも確実に音になって玲奈に伝わっていく。今は、怖くて顔も見れないけど。


「今ここにいるのは、私の魂を持ったなにかなんじゃないかって」


  本来なら、私の寿命はとっくの昔に切れているはずなのだ。でも、今も生きているのは、そういう理由くらいしかない。


「だから、殺して欲しかった。本能的欲求に任せて、私を殺して欲しかった……」

「だから、皆崎先生を利用した?」


  私は無言でうなずいた。

  世界を、沈黙が支配した。何の音も聞こえず、なんの空気の乱れも感じない。


「……馬鹿」


  幾分かした後、玲奈が唐突に口を開いた。


「え?」

「馬鹿と言ったの。伝説龍が現れた時もそう。魔剣の代償について話してる時もそう。そして、今もそう」


  玲奈は、呆然としている私に近づいた。


「全部一人で抱え込んで……ほんと馬鹿。今のあなたはもう孤独じゃない」


  怒られると思った。否定されると思った。もっと厳しい言葉を投げかけられると思った。

 でも、違った。玲奈は、私が思っている以上に繊細で、優しくて、でも不器用で……

 玲奈は言葉で想いを伝えるのが苦手なのかもしれない。でも、私にははっきりと伝わったよ。


 死なないで。私がいる。


 って言いたかったんでしょ?そうでしょ。玲奈……






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