第3章 第81話 まだ、私は
「……あぁ……」
莉音は必死に抗っていた。世界への絶望に。
「……うっ……」
莉音は意識が少しずつ遠のいていくのを感じた。莉音は何かを諦めたかのように、そっと目を閉じてそれに委ねた。莉音の意識は、完全に深い闇に飲み込まれていった。
・・・
「もう……だめ。このままじゃ……私……」
莉音はほとんど死んでいた。ずっと深いところに落ちていく感覚。それが常に莉音を支配していた。
「ごめん……獅子宮……私、もう無理……」
莉音は絶望の中にいた。たくさんの大切なものを失い、心に大きな穴が空いたような気持ちになっていた。
「ごめん……龍護、カール、シェリー……せっかく……守ってくれたのに……」
莉音はただただ謝り続けていた。弱々しく、小さな子供みたいに。
「ごめん……皆……私、もう……」
莉音は絶望のままに両手で顔を覆った。その時、何か光るものが左手にあることに気づいた。
「……え?」
その光は少しずつ大きくなり、徐々に莉音を包み込んでいく。
「……獅子……宮?」
その光は暖かかった。春の日差しよりも、ずっと。
「これって……」
その光はずっと沈んでいた莉音を持ち上げていく。絶望から莉音を解放するかのように、優しく。
「……やっぱり、私はまだ……死ねないみたい」
莉音の意識が完全に光に包まれた時、莉音は本当の意味で立ち上がった。今度こそ、本当に。
・・・
『ほんと……つまんないわね』
地面に倒れた心、将、玲奈を見下しながら、へびつかい座はため息をついた。3人はもう立つことすらままならないほどボロボロだった。
『さぁ、早くトドメを刺して……』
へびつかい座が3人にトドメを刺そうとした時、空間に1本の光が走った。
「……莉……音?」
全員が見つめる先、その光の中心にはさっきまで倒れていた莉音が、強い眼差しを持って立っていた。
「皆、ただいま!」




