第3章 第78話 クロノア団は不滅
『恐れおののきなさい、この圧倒的力に』
へびつかい座の右腕に集まっている魔力は、紫色を通り越してどす黒いきらめきを放っていた。
「くっ……これは」
『ちょうど獲物が固まってるからねこれほど楽なことはないわ』
へびつかい座の右腕から、電磁波にも似た魔法の光線が発射された。その光線は数多くの憎悪を纏っていて、世界の終焉そのもののようだった。
「莉音危ねぇ!」
「龍護?!」
「くっ……!負けっ……かよ!」
『無駄なことを』
莉音達をかばうように龍護が光線の前に立ち、受け止めた。苺の魔法による鎧に加えて、甲虫魔法による体の硬度を上げているが、それでも踏ん張ることすらギリギリの状態だった。
「龍護だめ!私のことは良いから!!」
「へっ……俺は大丈夫……だ」
莉音は動かない体を必死に動かしながら、龍護の隣に立とうとする。そんな莉音の前に、もう2人、光線を防ぐように立ちはだかった。
「龍護、お前だけでがんばんなよ。俺たちだって仲間だろ?」
「そうよ。私たちはみんなでクロノア団でしょ?」
「カール……シェリー」
莉音の前にカール、シェリー、龍護が並んで立っていた。
「だめ……3人とも……死んじゃう」
「死にかけのやつが何言ってんだ。俺たちは大丈夫だ」
立っていることすらできなくなり、地面に倒れたまま手を伸ばしている莉音に、龍護が優しく話しかける。紫色の魔力の光線は、今にも3人の体を飲み込もうとしていた。
「俺たちは、莉音にもう返せないくらいの恩があるしな。それに、俺たちが今いなくなっても、お前の中で生き続ける。俺たちは……クロノア団は、不滅だからな」
「龍護ったら、ここに来てくさいわよ」
「う、うるせぇな」
「でもまぁ、龍護の言うとおりだな」
紫色の光が強くなる。その光が3人を包み込み、魔力の粒子と化して消そうとしていた。その中で3人は、莉音を見て、後悔のない笑みを浮かべた。
「だめ……みんな、行っちゃ……」
「莉音は、大丈夫だ」
「えぇ。いつでも、私たちの前を歩いてくれていたからね」
「だから、俺たちがいなくても歩いて行ける。大丈夫だ。俺たちはいつでも、お前のそばにいるから」
「みんな……いや……行かないで……」
莉音が何かにすがるように、ゆっくりと這うように前に進みながら手を伸ばした。そんな莉音を見ながら、粒子として消える寸前の莉音に全力の笑顔を向けた。
「今までありがとうな、莉音……いや、団長!」




