第1章 第20話 死んだとされていた英雄
「『赤き青薔薇』だと……!?いやいや。何を言っているんだ君は!死んだ英雄の名を語るのは英雄に失礼極まりない行為だということがわからないのか?!」
「はぁ?!」
え!?何、私死んだことになってるの?まぁ、終戦と同時に隠居生活したけども。確かにその時私のことを擁護してとは言ったけど!どうして勝手に殺しちゃうかな…まぁ、そのおかげで今すごい気が楽だけどね。
「いや、何言ってるのかわからないみたいな顔されても困る。まぁ、君のそんな間抜けた発言のおかげで落ち着けたけど」
「いや、私本人なんだけど……」
先生が呆れた顔でため息をついた。いや、待て待て待て!ってあ、そうだった思い出した。私の外見ってあまり露呈してないんだった。
「証拠、見せれば信じる?」
「あぁ信じてやるとも。出来るものならね!」
「というか、私と将の戦い見たんでしょ。ならわかると思うんだけど」
「第2魔剣を持ってるからと言って本人と言いきれるとでも?馬鹿げたことを。魔剣の使用者は移り変わる。英雄が死んで2年も経ったら、新しい使用者が出てきてもおかしくはないだろう?」
あ〜。もう一周回ってどうでも良くなってきたよ。それに、馬鹿はどっちなのさ。魔剣使いは使用者とは表さない。契約者。それが正しい。ま、そんなことを言ったところで聞く耳持たないんだろうけど。
「名前まで一緒にして。どれだけ英雄気取れば気が済むのかね君は」
嘲笑気味で先生が言う。こういう人間大っ嫌いなんだよね。自分が少しでも優位に立っていると思ったらすぐにイキがる。
「もういい。信じないなら信じなくてもいい。ただ、ひとつだけ忠告」
呆れた。前はこういう輩は直ぐに殺してたけど、さすがに今はやめとこう。
「あなたは私を怒らせました。あなたに、それに値する覚悟はあるのでしょうかね」
「はぁ??」
私はドアノブに手をかけながら無能に向かって言った。金色に輝く左眼で睨みつけながら。
『桜崎 莉音さん。今すぐ理事長室に来てください。繰り返します───』
部屋を出た瞬間、そんな放送が聞こえてきた。やばい。玲奈に怒られる!
「……すっぽか…」
「そんなに慌ててどうしたのかな〜莉音?」
「ひぃ!?」
慌てて後ずさって声の主を確認した。
「丁度いいですね。一緒に行こうか」
そこには、般若のような笑みを浮かべた玲奈が立っていた。




