第3章 第67話 無敗の王
『そんなもんかよォ!!おらぁ!!』
「くっ!」
「莉音大丈夫か?!ちぃっ!いくらなんでも力馬鹿すぎだろこいつ!」
金牛宮の攻撃をまともに受け止められるのが莉音だけという状況が続く。そんな莉音にカールがすかさず回復魔法と補助魔法をかけながら、要所要所で攻撃魔法を使って金牛宮を攻撃している。
同じように、莉音が金牛宮の攻撃を受け止めている時間に、四方八方から龍護、玲奈、将、苺、心が攻撃を与えていく。
「全く……効いて、ない」
「このままじゃ埒があかねぇ!それに、莉音の方も心配だ」
「そうね。さすがに長期戦はまずいわ」
『お前らも自分の心配したらどうだァ?!おらぁぁ!!』
「っ!?臨時結界魔法!」
『お?いい判断だ。だが、弱いなぁ!!』
金牛宮は莉音が完全にバランスを崩したのを見て、苺の方に方向転換した。
「苺ちゃん!」
「……大丈夫。方舟特殊結界魔法『蜃気楼』」
『うぉ?!なんだぁ?急に手応えが無くなったぞ!』
「今、私は蜃気楼……使い方は……無限」
「みんな!一旦離れて!」
莉音の声で苺以外の全員が金牛宮から離れる。次の瞬間、金牛宮の皮膚を抉るように無数の水飛沫が針のようになって、金牛宮を中心に半径2メートル程度のドーム状の空間を支配した。
『えぇい!小賢しい!!』
「……え?」
「今!行くよ!!」
金牛宮が強引突破しようとした瞬間に、莉音と玲奈が金牛宮の頭部分を狙って攻撃する。
「『無』解放!終焉魔法『テノヒラ』」
「無限の宝剣の儀『王無尽』!」
『よぉし!抜け……』
金牛宮の顔に初めて驚愕が映る。目の前にある無数の闇を纏った剣が降り注いだ。
『な、ぬぁんじゃぁぁ!!??』
「纏われし闇、全てを貫き」
皮膚の所々が傷ついた金牛宮に、降り注ぐ剣に纏われてる闇が傷口から少しずつ侵入していく。
「全てを飲み込み……0なる世界へと回帰せん」
それすらも構わずに莉音に突進した金牛宮は、莉音に到達する寸前で動きが止まった。
「『開花』」
中に入り込んでいた「無」の魔力が急激に活性化し、金牛宮に内部からダメージを与え始められた。
動きが止まった金牛宮は、そのまま活動を停止した。
莉音は目の前で停止したままの金牛宮を見上げながら、ゆっくりと剣を構えた。
「さようなら。無敗の王」




