第1章 第19話 VS無能教師?
「え〜、このクラスの“戦闘技能”担当の皆崎だ、桜崎 莉音はいるか?」
朝学校に行くと、いきなり先生から呼び出しをくらった。そう言えば、今日初めて戦闘技能の授業を受けるんだっけ。魔法技能は普通にできたけど、戦闘はさすがに誤魔化せないだろうな〜。
「お〜い!桜崎はいないのか?」
「あ、すみません。私が桜崎です」
「そうか。今日授業あるよな?それの件について1つ話がある。ちょっと私についてきてくれないか?」
朝のSHRまで10分程ある。さすがに間に合うよね。このまま戦えなんていう戦闘狂じゃないよね?
そんなことを考えている内に「応接室」に案内された。あ〜。なるほどね。こういうことか。
「さて、まず大前提として。先の黒宮との戦闘を見せてもらったが……単刀直入に聞く。あれが本気か?」
「え……えっと……」
「安心して話してくれていい。録音もしてないし他の生徒もこの部屋には入れない」
「でも、ここの音の反響の仕方は外から聞こうと思えば聞けます。それに、今誰かが魔法を使って覗いてますよね?一体なんのつもりですか?」
嫌な予感がした。この手の罠はよく用いられるとはいえ、実際に見破るのは難しい。私もここまで来るのに何百回とかけられてきたものだ。
「本気で私を騙そうとしたのですか?」
「……はぁ…まさかそこまで完璧にバレてしまうとはね。どこで気づいてた?」
「この部屋に案内された時です」
「さすがだね。君は何者?16歳は嘘じゃないだろうけど、そこまでの経験値はどこで?」
さっきとは打って変わって質問を投げかけてきたが、私を舐めてるのかな?そんなふうに話題変えられたところで部屋の仕組みは変わらないわけだし。
「そろそろ癪に障るのですが?」
「いや!すまない!謝る!謝るからその剣に置いた手を離せ!いや離してください!」
私が小指を剣に置いた瞬間に先生が慌てふためいた。先生にしては危機管理能力が低い。ずっと前から出してたのにね。
「先生は私を試そうとしたのかもしれませんが、私も同じように先生を試してみました。結論から言います。先生、あまり実戦経験ありませんね」
「何を言う!ここで技能の教師を任さている人間だぞ!舐めた口を聞くでない!」
やっぱり、人間って単純だね。図星を突くとすぐに冷静さを欠く。多分、10戦ぐらいだろうな。まぁ、今の時代からしたらそれでも多いんだろうけど。
「はぁ……先生、他の先生に聞こえてるから〜って思ってるでしょ?でも、残念でしたね。外部からこの空間への干渉を遮断してますので、今の会話は先生と私しか聞こえてませんよ」
先生の顔が絶望に染っていく。う〜ん……まだ舐められてるな。仕方ない。本当は言いたくなかったけど、言うしかなさそうだな。
「はぁ……こんな人に舐められるとか、心外だな……時間の流れによる忘却は早いものだ。いや、手柄全部持ってかれちゃったから仕方ないっちゃ仕方ないか」
「え?急に何を……!?」
「ここまで言ってまだわからないのか。無能にも程があるだろ。それに、将との戦闘見たんでしょ。なら見抜けよ。実力差くらい測ってから喧嘩挑めよ」
絶望がいよいよ怒りに変わっていく。いや、怒りたいのこっちだから。そろそろもう嫌になってきたから!
「お前!誰にも見られてないからって教師にそんな口を───」
「この無能が!!私を『赤き青薔薇』と言うことを知らないのか!!!」
ついに言ってしまった。言ってやった。後悔はない!むしろスッキリしてる!
顎外してる無能教師を見下しながら、私は魔力を解放し、髪の毛を水色に煌めかせたのだった。




