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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
第3章 神獣大戦
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第3章 第60話 処女宮

 処女宮世界に入ると、そこは大きなお屋敷のような作りになっていた。


「お〜、こりゃすげぇな」

「多分、ここに来たみんなそう思うよ。前はもっと光り輝いててきらびやかって感じだったけどね。ここは、見た目だけは変わってないみたい」


 莉音は1度周囲を確認しながら、少しずつ先頭を歩いて進んで行った。入ってすぐの空間は広く、円形の大きな模様が地面にあり、その先には階段が用意されている。階段を上がると正面、左右に大きな扉がある。


「ねぇ莉音、ここってどれ位の広さなの?」

「えっと、敷地面積は確か3000平方キロメートルくらいだったと思う。変わってなかったらだけど」

「さ、さんぜ……」

「それに加えて、処女宮の姿は私たちと大差ない。だから、あっちから来ない限り探すだけでも時間がかかる。適当に探して見つかるほど、この屋敷は狭くはないよ」

「そっか〜……じゃあどうするのよ」

「実は私にいい考えがあるんだ。ねぇ、ヤウィー。秘石魔法(ルーンマジック)って索敵能力ある?」

「えっと……はい!と、言っても索敵範囲とかは魔法をかけた人の能力に依存しちゃうんですけど」


 ヤウィーが申し訳なさそうにそう言うと、自分で言って初めて気づいたのか、あっ!と閃いたような顔をした。


「そっか。これを莉音さんに使えば」

「そゆこと。さっそくお願いできる?」

「はい!秘石魔法『感知(サーチ)』」


 ヤウィーが魔法で莉音に索敵能力を付与すると同時に、莉音自身も索敵魔法を使って効果を相乗した。


「……え?」

「莉音どうしたの?」

「何かわかったのか?!」

「ちょっとカール落ち着いて」

「落ち着くも何もねぇよ!俺はここに入ってからずっと索敵張ってるんだが、わけわかんねぇ!莉音の反応を見る限りそうなんだと思うけど、多分同じだ」


 カールは少し焦りながら莉音を見た。莉音は落ち着いた様子で溜息をつき、天井から吊るされている光を失ったシャンデリアの上を見た。


「そんなところに隠れてるなんてタチ悪いね」

『何を言う。これは立派な作戦さ。索敵は基本的に平面だしね』

「あっ……!だからカールは焦ってたの?私たちの中に敵が混じってるように見えたから」

「あぁ。くそっ!これは相手の方が1枚も2枚も上手だったってことだ」


 処女宮はシャンデリアから慣れた所作で地面に降りると、全員に向かって一礼した。


『良くぞここまで辿り着いた。この感じ……人馬宮には勝ったようだな。それに、全員が生き残ってると見た』


 処女宮は莉音たちを見回し、仮面が張り付いたような笑い顔で笑った。


『さすが……と言ったところか。では──』


 その瞬間、視界から処女宮の姿が消えた。


『こちらも本気でいかせてもらうとしよう』

「なっ?!」

「龍護危ない!」


 処女宮は、刃渡り15センチ程のナイフを持って龍護を殺そうとした。その間に間一髪で入り込んだ莉音は、空中で受け止めたことと不完全な姿勢で受けたことも相まって龍護諸共吹き飛ばされた。


「こいつやべぇぞ!」

『自分の心配をした方がいい』

「ちぃ!」


 処女宮は次にカールを標的に定め、目にも止まらぬ早さでナイフを繰り出していく。処女宮の攻撃に無駄はなく、反撃の隙がほぼなかった。


「援護するぞカール!」

「えぇ!私達も加勢するわ!第3魔剣 解放(バースト)!!」

『無駄なことを』


 処女宮は将と心の攻撃をほとんど見ずにかわし、攻撃対象を心に切り替えた。


「心気をつけて!処女宮の能力は──」


 吹き飛ばされた位置から莉音が叫んだ。


「超短時間の時間停止だから!!」







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