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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
第3章 神獣大戦
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第3章 第55話 心の考え

 莉音たちは人馬宮世界に入った。その場所は闘技場のような形になっていて、目の前には上半身が人間で下半身が馬になっている生物が、弓を持っていた。


「なぁ莉音……あいつが?」

「うん。みんな、注意して。今まで戦ってきた神獣達と次元が違うよ」

「うん……なんか、そんな気がするわ」


 莉音たちは、前から3、1、3、2の隊列を組んでいる。半径1キロはありそうな闘技場の端どうしで睨み合いのような状態になっている。


「……不気味だな」

「カールさん、それって?」

「そのままの意味だ。う〜ん……ヤウィーにわかりやすく言うなら、あの武器の形状的に、俺たちが入った瞬間に攻撃すれば、致命傷にならなかったとしても隊列を乱れさせる、精神的余裕を消すことが出来たはずだ。なのに、今こうして拮抗状態になってる。だから不気味なんだ」

「なるほどです。ありがとうございます」

「別に構わないさ。分からないことは素直に聞けばいい。知ったかぶりが1番危険だからな」


 最後衛で魔法支援の用意をしているカールとヤウィーは、支援のタイミングを図りながら小声で話していた。


『……やはり、仕掛けて来ぬか』

「君の能力を知ってるからね」

『そうか……わしが最初の神獣という訳でも無さそうだが、他の神獣と戦ったにしては消耗して無さすぎるな。白羊宮の差し金か?』

「違うよ。それに、白羊宮の力を使えるのは白羊宮だけじゃない」

『無駄なことを……』


 そう言うと、人馬宮はまた黙った。弓を構える素振りも見せず、隙を晒しているかのように突っ立っている。


「なぁ莉音、どうして攻撃しないんだ?」

「人馬宮の能力は、簡単に言うと受けたダメージを増加させて相手に返す。それはもちろん必中だし、当たったらほぼ確実に死ぬ」

「え!?それじゃあどうやって倒せばいいの?!」

「わかんない。でも、勝ち筋はある。良くも悪くも、こちらから攻撃しない限りは人馬宮に攻撃手段が生まれないから」


 莉音は、両隣りにいる龍護と玲奈に人馬宮の情報を伝え、どうやって攻撃しようかを考えていた。莉音達の後ろで1人ポツンと立っている心は、莉音達の会話を聞きながらずっと考えていた。


「ねぇ莉音」

「ん?どうしたの心」

「人馬宮ってさ、対象とかあるの?」

「えっと、紫色の魔力で変なことされてなかったら、攻撃した人のみが対象になるはずだよ」

「分かったわ。とりあえず、もう少し観察して、それから答えを出したい」

「……わかった。頼りにしてるよ、心」


 莉音は心と立ち位置を入れ替わり、最前列に心が入った。その後莉音は、人馬宮が不意打ちを狙っていないか確認しつつ苺たちの所へ行った。


「ねぇ、苺ちゃん、シェリー、将1つだけ頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」

「いいよ」

「大丈夫よ」

「無論、それで勝てるのならなんでもしよう」

「ありがとう。あのね」


 莉音は3人に1つだけ伝えると、さっきまで心がいた場所に戻った。

 莉音が3人に伝えたこと、それは──


「心を全面的にサポートしてほしい」






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