第3章 第14話 準備【チーム:執行部】
「こうなったか〜」
チーム編成後すぐに、玲奈、心、将の3人は生徒会室からチーム部屋に向かっていた。
「そうだね〜。この3人って執行部設立時の面子だから、なんか懐かしいね」
「うん。そのあとに美鶴が来て、それから苺が入ってきて、莉音が入ってきたんだっけ?」
「あぁ。美鶴、今元気にしてっかな?」
「あの子は大丈夫でしょ。ただ、莉音を見て平気だろうか?」
莉音が執行部に入る数週間前、美鶴と呼ばれる執行部員が臨時休暇をとり、とある研究期間に助っ人として行っている。
「美鶴は一応来月あたりには帰ってくるから、序列戦には間に合うね」
「お?じゃあ莉音対美鶴も見れるってこと?いやぁ、楽しみ」
「それ以前に自分の心配したらどうだ?もしかしたら美鶴に負けるかもしれないからな。ひとまず、俺は莉音にリベンジしたい。勝てなくてもいい。一撃でも入れたい」
「いいねぇ。私はとりあえず、莉音に負けないようにしなきゃ……いやぁ、きっつぅ」
「でも確か魔剣とかの特殊剣とか特殊能力は使用禁止でしょ?なら勝てる可能性はあるんじゃない?」
神獣と戦うこととは全く関係ない雑談が続く。その内容は主に毎年夏に行われる学園序列戦の話になっていた。
「でも、莉音って体術とかも一流だし、普通に魔力の使い方、魔法の活用能力も世界で1番上手いと思うし、魔剣無くても地球上じゃ最強クラスだと思う」
「あ〜……そっか。玲奈は昔の莉音を知らないのか」
「俺は元々莉音は情報だけしか知らないが……昔の莉音って今と同じくらい強かったのか?」
「いや、全然。と言うより、莉音が孤児院を移るまでの数週間くらいだったからあまり分からないんだけど、でも昔からあんな感じで、ずっと1歩前を行ってる感じ」
話しながら歩いていると、チームの部屋に着いた。3人はその部屋に入り、真ん中にあった机を囲んで座った。
「それにしても、なんで玲奈は莉音を知ってるの?」
「あ、あはは……それは、ちょっと苦い思い出かな〜」
「心、それ以上言及してやるな。それより、これからどうする?作戦を練ってもいいけど」
「ううん、今日は眠いから寝たい」
「私も眠い!」
「じゃあ、今日は休もう。変に根詰めしない方がいいしね」
部屋の中から聞こえてくる声に、ノックをしようとした莉音は手を止め、生徒会室に向かった。その時の莉音は、優しく笑っていた。




