第3章 第10話 集合
執行部メンバーとクロノア団、そしてヤウィーが生徒会室の中央に置いてある長方形の机を囲んで座っている。
「さて、これから神獣について少し説明しようと思う。まぁ、私が知ってることだけだけどね」
いつもは玲奈が座っている場所にホワイトボードが置かれ、莉音が全員に対して講義をする感じになっている。
なぜこのようなことになったのか。原因は少し前に遡る。
生徒会室にきっちり2時間で集まった人は誰一人としていなかった。と言うのも、白夜学園の敷地が広すぎ……たわけでもなく、単純に全員疲れていた。1番早くついた苺が30分オーバーで、1番最後に着いた心が2時間オーバーだった。
「さすがに2時間はきつかったかな。心は例外として」
「ちょっと!なんでわた……」
「心……4時間は、遅すぎ」
「うっ……」
「それより、莉音」
「ん?苺ちゃんどうしたの?」
周りを見回し、全員揃っているのを確認して、苺は莉音に本題をぶつけた。
「神獣について……教えて、ほしい」
「確かにな。俺も神獣は名前しか知らん」
「う〜ん、クロノア団として活動してた時に伝説龍は何度か戦ったことあったよね。でも、思えば神獣って戦ったことないかも」
「あ〜……そこからなのね」
苺の言葉を皮切りにどんどん溢れてくる興味に、莉音は軽く呆れながら教える準備をした。
そして今に至る。
「とりあえず、深く説明し始めたらキリがないから、ここでは簡潔にだけ説明するね」
「「はーい」」
「ちょ、なんでこんな塾みたいになってるの?!まぁいっか。とりあえず、神獣は12体いる。それぞれが別々の方角に領域を持ち、4大神獣と呼ばれる『獅子宮』『金牛宮』『人馬宮』『処女宮』はそれぞれ東西南北に別れている」
ホワイトボードに書きながら、莉音は必要事項だけを淡々と説明していく。
「今のでわかったと思うけど、モデルは黄道十二宮になってる。それぞれが星座の力を持ってる。簡単に言うと、皆崎が使っていた魔星剣が制御された状態でなおかつ、10倍程度の力があるって感じかな」
「うわぁ……1人1体ってわけにはいかなさそうだな」
「そうだね。2つか3つに別れるならまだしも、1人1体は確実に無理だね。だから──」
莉音は、腰の剣を鞘ごと地面に突き立てるように持ち、緩みきっていた空気を締め直した。
「──今から私なりのチーム編成を発表する。そして、4大神獣以外の8体をまず無力化する」
その言葉に、一番最初に反応したのは龍護だった。
「よっしゃぁ!いっちょやってやるか」
「いいねぇ!今回は私も最初から参戦するよ!」
「玲奈……まだ気にしてたのか。でも、俺も行こう。世界の危機だしな」
「私も、やる。これでも、ここの序列2位……なので」
全員が立ち上がり、気合いを口にする。それにつられるように、ヤウィーの目にも闘志が宿っていた。
「皆さすがだね。よし!」
莉音は、1度全員を見て、不敵な笑みを浮かべながら告げた。
「まずは、勝とう!」
「「おぉー!!!!!」」