第2章 第84話 1つのピース
「なぁ、玲奈……それに将って」
「え?カール2人を知ってるの?」
玲奈と将を見たカールが、口をパクパクさせながら心に言った。
「知ってるも何も、この2人は──」
「おっとそれ以上は昔の話さ。今は君たちの味方だよ」
「なんかすっごい複雑な関係っぽいけど……まぁいっか。一緒にジョンダーを倒そう」
「一緒に……か」
玲奈と心の会話を聞いていたジョンダーは、不気味な笑みを浮かべながら剣を構えていた。それも、基本の型なんて無視した歪んだ型で。
「面白いことを言ってくれる。何人で来ようと俺と閃冥門は負けんぞ」
「あからさまに喧嘩売られてる感じかな?いいよ。買ってあげる」
玲奈は剣を中段に構えた。その姿はまるで昔の玲奈に戻ったかのようであったという。
「莉音には後でちゃんと謝らなきゃいけないからね。それに、ここまでみんなが繋いでくれたものを今まで同じ舞台にすら上がれていなかった私が踏みにじる訳にはいかないでしょ」
「だから今は味方ってことか?」
「いんや。もとより君たちと戦う気は無いよ」
玲奈と将の隣に心とカールが並ぶ。かつての敵が今は敵とは限らない。そんな漫画みたいな繋がりが、そこに生まれていた。
「さぁ!始めようか!!」
「そう来なきゃな!こっちも燃えてきたってんだ!閃冥門解錠!!」
ジョンダーの剣が2本に割れた。閃冥門という魔剣は、解錠することによって「閃門」と「冥門」に別れることができる。これがジョンダーの必殺技であり、奥の手であった。
「そっちは2本……か。やる気あるの?無限の宝剣『萬無双』解放!」
「閃光の宝剣『刹那陣』!」
相手の声に呼応するかのように2人が剣の力を解放する。世界に3本しか存在しない宝剣を携えた2人を先頭に、四方からジョンダーを攻め落としにかかる。でも、まだ1つのピースが足らなかった。
「敵は……自分?」
そう、たった1つ。4人の背中を見てることしか出来ない少年というピースが──