第2章 第77話 出逢い、始まり
「ねぇ、シェリー」
「どうしたの?」
孤児院の隅っこで話していた時、莉音は真剣な顔でシェリーに告げた。
「戦争って、どう思う?」
「せん…そう?って、何?」
でも、シェリーはその言葉を知らなかった。そもそも、孤児院の外の世界を見た事がないシェリーにとって、何もかもが想像上の存在なのだ。莉音が話していることも、院長が話していることも……だからシェリーは、その先へと臆せず入っていったのかもしれない。
「そっか……じゃあさ、これから私と修行しない?実は他にもう1人いるんだけど」
「しゅぎょう?よく分からないけど、楽しそう……いいよ、やる」
「よし!じゃあ明日、孤児院を出てすぐのところにある木の下に集合!時間は昼頃くらいかな。じゃあよろしく!」
「うん!」
これは、まだ始まりに過ぎなかった。後にクロノア団となる3人が初めて出逢い、共に腕を磨き合い競い合った日々の始まりであり、もう二度と普通に戻れなくなる道への第1歩だった。
でも、幼き3人にはそれが分からなかった。いや、莉音だけは分かっていて踏み込んだのかもしれない。
「お!ちゃんと来てくれたね!」
そして、運命の時がやってきた。シェリーが約束した場所に行くと、莉音だけがそこにいた。
「うん!それで、もう1人は?」
「寝坊……かな?もうそろそろ来るとは思うんだけど……」
そんなことを話していると、慌ただしくこちらの方に走ってくる人が見えた。年齢的には2人と同じくらいだが、明らかに違うところがあった。
「ごめんごめん!待った?」
「ううん。今来たところだよ。さぁ、これで全員揃ったね」
それは性別だった。シェリーは男子と話すのが初めてだったので、もう1人を見た瞬間に少し怖気付いてしまい莉音の背中に隠れた。
「まぁ、最初は自己紹介からってことで!まずは私から。私は莉音。よろしく」
「僕は龍護。よろしく」
「え……えっと…………シェリー……よろしく」
「さぁ!今日から少しずつ親交を深めつつ、頑張って行こー!」
3人の苗字を持たない子供が木の下で手を交わす。お互いを仲間だと自分に認識させるために。




