第2章 第73話 心の能力
「連れてきたぜ」
「いっちご〜!お疲…れ?」
「ちょっと休ませてやろうぜ。連れてくる途中で寝ちまった」
龍護がみんなが待っていた場所に着いた時、苺は既に心地よさそうな寝息を立てて眠っていた。
「そうだね。苺、頑張ってたし」
「どうする?2人……少なくとも苺が目を覚ますまで休むか、俺たちだけで進むか」
「ちょっと何言ってるのよカール。進む以外選択肢無いよ。莉音も、苺も、私たちが進むために全力を賭して戦ってくれたんだから、私たちがそれに応えるのは普通でしょ?」
心はそう言うと拳を天に掲げた。それに呼応して、眠ってるふたりを除いた全員がそれに続く。次の戦いに向けての士気は上々だ。
「というか、苺は誰が背負うんだ?」
「え?カールに決まってるでしょ何言ってるの?」
「おいおいちょっと待てよ。俺は今莉音を背負ってるんだぜ?二人同時なんて行けると思うか?」
「行ける行ける。だって軽いもん。二人とも」
カールがそういう問題じゃなくて…と言いたげな目で心を見たが、もう諦めたのだろう。しゃがんで背中に苺を乗せさせた。
「よし!じゃあ新たなる敵を探してしゅっぱーつ!!」
「いや、お前すげぇわ」
なんの躊躇いもなく前に進んでいく心を見て、全員が龍護と同じ感想を抱いた。これまでの敵の出方から、明らかに待っていた方が安全なのに、それでも前に進むのはある意味尊敬出来るらしい。
「おーい何してるのー!置いてくよー!」
「あ、ちょっと待てよ」
ここが戦場であることを忘れてしまう程、明るい世界がそこにはあった。いつもその明るさの中心に心がいて、周りに人が溢れている。
それが心の魅力。そして1種の能力なのだ。心自身、それを理解しているし、周りの人をより良い方向に導けるようにそれを使う努力をしている。
「というか、今から10秒後、振動に備えて」
「え?なんで?」
「理由は後。来るよ」
心がそう言ったかと思うと、背後で何かが爆発する音がして、遅れて爆風がみんなを襲った。
「な!?」
「やっぱり見てるね。皆崎」
心は、遥か上空を睨んだ。さっきまで自分たちがいた場所を爆破した犯人、そして今回の戦争の引き金となった者、皆崎がいるであろう場所を。




