第三話だ! んん? 何か間違ったか? そんなはずがないな!
そのまま夕焼けの下、打ちひしがれていてどれだけ時間が経っただろうか。
放心状態のままの俺の隣に誰かが立った。振り向く。ボッシュだ。
ボッシュは横目にちらっと俺の格好を眺めると、にやけ面で肩をすくめてみせた。
「その格好からすると、もしかしてまた負けちゃった?」
「負けてない。まだ勝つ途中なだけだ」
「はいはい、そーですね」
わかったような顔をするボッシュにイラつきながら、俺は鼻を鳴らした。
ボッシュは一人だ。取り巻きАBCはどうしたんだろうか。
「埋葬してきたのか?」
「そうそう、三つも墓穴を掘るのは重労働で……って違うから。ちゃんと医務室に連れてったよ。人手借りるのにクラウスの名前使ったけどいいよね?」
「構わない。あいつらの暴走も俺の責任の一つだからな」
その責任を取るのは俺の役目。もちろん、再発防止に備えて奴らに説教しておくのも俺の責任だ。できる男であり、持たざる者に配慮する立場の俺は大変なのだ。
「背負うねえ……」
「背負う? 馬鹿を言え。責任は俺の一部だ」
「はいはい。……にしても、天下のクラウス・ラズベリーさんがずいぶん薄汚れて」
ボッシュの指摘通り、俺の学院制服はひどい有様だ。
受け身は取ったとはいえ、こんな道端に背中から投げ落とされれば当然だろう。
「この制服ももうダメだな。100人の服飾デザイナーに隅々までこだわらせた特注品だったのに……あと100着しか替えがないぞ」
「……卒業までにストックが尽きないといいね」
膝や腕の汚れをはたいていると、背中側をボッシュがはたいてくれる。ここぞとばかりにバシバシバシバシと……おい、ちょっと待て、痛いぞ。
お前これ本当に汚れ落とすための行動だろうな?
「それでけっきょく、アルタイルの誤解は解けたのか?」
「誤解なんてものはどこにもない。あいつらは俺のためにやった。だからあいつの文句をきっちり聞いてやろうとしただけだ。その結果が背負い投げ」
「その結果が背負い投げか……これ仲直りは厳しいかもなぁ」
「仲直りの必要なんてない。徹頭徹尾、奴が主席である限りは次席の俺の敵だ。俺にとって敵は奴ただ一人。そう思えば、この学院生活も張り合いが出るじゃないか」
当然のように主席を維持し、衆愚を導くという崇高な使命を果たすのもいいが、競う相手がいなければたとえ俺であっても道を見失いかねない。
そういう意味ではアルテミス=アルタイルの存在は、実に俺にとって都合がいい。
何事も考え方次第で、得るものが出てくるというものだ。
「どうした、妙な顔をしてるぞ」
「いや、自分が次席なんて素直にクラウスが認めるのが驚きで。どしたの?」
「大したことじゃない。得難い経験をしたことで、俺がまた一つ成長しただけだ!」
そう、そういうことだ。次席であることはマイナスではない。向上心を見失いかねない頂点の座を、易々と渡すまいとした運命からの『試練』なのだ。
倒すべき敵にして、倒したときの達成感に屈服させた満足感までついてくる。
必ずひん剥いてやるぞ、アルテミス――!
「それにしてもアレだ、ボッシュ。変態と罵られてちょっと嬉しい自分がいたんだが、それは俺にとってどんな得難い経験だったんだと思う?」
「……今のは聞かなかったことにするよ。未来のお前の右腕として」
そんな風に言って、肩を叩いてくるボッシュと一緒に寮に戻る。
さすがにアルテミス……ととと、アルタイルだな。アルタイルと寮で顔を合わせるのは気まずいから、そこは気を付けることにしよう。
ただ、一つだけ素直に懐かしめることもあった。
「ボンクラウス……か」
俺をそう呼ぶのはアルタイルとアルテミス、あの双子の兄妹だけだったのだから。
△▼△▼△▼△
寮に戻った俺とボッシュは、アルタイルと顔を合わせないよう先に風呂に入り、食堂に奴がいないのをチェックしてから食事をとって部屋に戻った。
ちなみにこの学院の寮は共同生活による協調性の習得を謳っているが、生活に必要な雑務全般は専用の使用人が担当しているし、部屋も全生徒が個室の扱いだ。
名のある貴族の子女たちが通う学院なのだから当然の措置だが、本来の目的へのアプローチとしては少々本末転倒な感は否めない。
とはいえ、全部が全部、便利で助かるというわけではない。痒いところに手が届かない部分も当然あり、その中の一つが風呂だ。
俺ほどの貴族になると、当たり前だが入浴するときにわざわざ自分で自分の体を洗ったりしない。基本的に使用人に洗わせるのが当然の生活だ。
そのため、学院にきて最初の数日は悪戦苦闘させられた。部屋に専用の浴室があるのだが、風呂に入って何をすればいいのかイマイチわからなかったのだ。
あらゆる事態を想定して手を打っておくことに定評のある俺だが、さすがに『一人で入浴』なんて技能は学んでいない。これは手抜かりだった。
ひとまず、湯の出し方から体の洗い方まで、普段は意識していなかった使用人たちの動きを最大限記憶から呼び起こし、完璧なコピーに成功した俺は隣室――そう、たまたま隣室だったボッシュの部屋を訪れた。
そして、ラズベリー家の嫡男である俺の登場に驚いていたボッシュに、俺は堂々と宣言したわけだ。
「体の洗い方を思い出したが、他人の洗い方しかわからん。だから、俺がお前の体を洗ってやろう。その代わりにお前が俺の体を洗え」
と、一部の隙もない完璧な理論だ。
最初はボッシュも面食らっていたが、正気に戻ると俺の提案の無欠さに感心したらしい。すぐに俺を部屋に入れると、体の洗い方を実践形式で教えてくれた。まぁ、最初は口頭で説明してくれていたんだが、実際に見ないとわからんと俺がせがんだんだが。
その甲斐あって、ボッシュの洗い方から自分の体の洗い方をマスターした俺は、学院生活における風呂事情を見事にクリアしたというわけだ。
思えばボッシュと会話するようになり、いつの間にかつるんでいるのもこの出会いがきっかけだったな。なるほど、共同生活も侮れないものだ。
「最初は……正直、ちょっと怖かった。なんせ相手がかの有名なラズベリー家だもんな。暗に尻を出せと要求されたのかと思って、内心、諦めたぐらいだ」
「お前は何を言ってるんだ? 風呂の入り方がわからないから人に聞く。実際に見せてもらう方が習得は確実。俺の何が間違っている」
「間違ってないことが間違ってる」
初対面のときはあれだけ小さくなっていたくせに、人は変わるものだ。
まぁ、俺は人の器で測るには大らかすぎる心の持ち主なので、友人の気安さぐらいは余裕で許そう。そのぐらいの友情は、俺もボッシュに感じている。
「仮にお前に後ろから刺されたとしても、斬り殺したあとで葬式では泣いてやるからな」
「そうかそうか。お前が大らかな心の持ち主でいてくれてオレも嬉しいよ、クラウス。嬉しいからさ……その大らかな心、もうちょっと保ってくれよ」
「だからさっきからなんなんだ。急に部屋にきたかと思えば訳のわからんことを並べてるだけだろうが。いい加減、俺に座学の予習をする時間を与えろ」
「相変わらず、ちゃんと机に向かって予習する姿が違和感すごいけど、とにかく怒らないでくれよ? ――じゃあ、お前たちも入れ」
そう言って、俺の部屋の入口に立っていたボッシュがどいた。すると、ボッシュの後ろからぞろぞろと顔を出したのは、しょぼくれた顔が三つだ。
それぞれ、取り巻きАとBとCである。
「お前らか――!」
「ひぃーっ!!」
「お許しをーっ!!」
「出来心だったんですぅーっ!!」
アホ面を三種類見た瞬間、俺の怒りは沸点に達した。
縮こまる三人組だが、よくもまぁ俺の前にのこのこと顔を出せたものだ。こいつらは自分が何をしでかしたのか自覚がないのか。
「ま、まあまあ、落ち着けよ。こいつらだって悪気があったわけじゃないんだ。本当にマズイと思ってるからこそ、こうして謝りにだってきたんだし」
「それをお前がとりなしたわけか。いつからお前は弱い奴の味方になったんだ? 俺のように強いものに巻かれていろ。それが賢い生き方というものだろうが」
「長いものに巻かれろって長いものが言うのって新鮮だよ」
苦笑いするボッシュだが、俺の方は笑って流してやる気になどならない。落ち着けと言われて落ち着けるなら、人間の体は頭に血が上るようになどできていない。
神は人間が感情に振り回されるように作ったのだ。
だから俺も一時の感情に流されて暴走し、こいつらを罵倒し、あらゆる悪逆の限りを尽くしたとしてもそれは神の望んだ展開に違いないのだ。
「学院追放……お家断絶……ラズベリー流お仕置き100選からセレクト……」
「怖いこと呟くのやめてやれよ。しかも最後の超怖いんだけど」
「歴史が長いからな。厳選された100種類のお仕置きだ。血も凍るぞ」
たまたま父の書斎を漁っていたとき、実家の黒歴史を知った衝撃は忘れがたい。人間はあれほど同じ人間に残酷になれるのかと、卒倒しそうになったぐらいだ。
「まさか壺いっぱいにナメクジを入れて、一握りの塩と一緒に人を……」
「怖い怖い、聞きたくないって! それより、こいつらの言い分を聞いてやれよ」
「言い分だと? 俺の名前を出してアルタイルに脅しをかけ、その上で無様に負けたというどうしようもない事実の言い訳をか?」
全貌を把握している俺の言葉に、取り巻きАBCの顔が真っ青になる。
おそらく、軽はずみな判断だったのだろう。この学院にいる以上、大体のことは俺にとっては家名を突きつければ片付く問題に他ならない。
だからこそ、こいつらは考えが足りなすぎる。俺の名前を勝手に借りたこと自体は、もうやってしまったことだから仕方ない。
だが、借りた場合の重みを理解していないことが馬鹿そのものなのだ。
「いいか、お前ら。お前たちは我がラズベリーの名前を単なる権力の象徴、権威としてしか考えていないかもしれないが、はっきり言ってその通りだ。我が家は権力の象徴。誉れ高き公爵家にして、アルセール王国有数の本物の権威を持つ貴族だ」
「あ、ぅ……」
「その名前を扱うということは、当家の功績から対外的な噂まで全てを背負う覚悟がいる。それもなしにただ旨みだけ啜ろうとすれば、失敗するのは必然のことだ」
やっと頭に血が巡り出したのか、蒼白だった取り巻きАBCの顔色がどんどん黄色になっていく。幾何学的な変化で笑わせにでもきてるのか。空気の読めない奴らだ。
「いいか。ラズベリーの名を担うなら、決して敗北は許されない。失敗も同じだ。お前たちは俺の知らぬ場で、俺の家名に泥を塗ったのだ。それを理解しているか?」
「――――」
「権力を笠に着ようとして、やってはならないことをしたな。さっきの俺の言葉は脅しではないぞ。俺はやろうと思ったことはやるし、お前らの家を取り潰しにするだけの権力が我が家にはある。そしてそれを躊躇う理由もない」
腕を組んで言い放って、俺は取り巻きАBC……いや、三バカだな。三バカを見下ろしてやる。床に崩れ落ちた三バカは、完全に打ちのめされてグロッキーだ。
栄誉ある学院に入学して、華々しい未来を約束された気でいたはずだ。
貴族に生まれて勝ち組気分でスキップしながらここまできたのに、もうちょっとうまい汁すすったろーなんて甘ったれな考えで俺に取り入ろうとして失敗。
無様、ここに極まれりだ。
こいつら、学院を追い出されて家まで潰されたらどうするんだろうか。
家族には罵られ、領民には指差して嘲笑われ、俺の執拗な嫌がらせは死ぬまで続く。最後には路頭に迷い、家族揃って首でもくくってピリオドか。
ちょっと判断ミスしたぐらいで、と思っているかもしれないがそれが甘い。
生まれながらに人の上に立つ、貴族という存在ならば当然の気構えだ。
それを持たせ損ねた以上、家族にも同様の責任がある。うむ、実に俺らしい理屈だ。
「おい、お前ら!」
と、三バカの貧相な末路を俺が憐れみつつ決定付けていると、それまで黙っていたボッシュが三バカの背中を蹴りつけた。のろのろと顔を上げた連中がボッシュを見ると、奴はめったに見せない真剣な顔で三バカに怒鳴りつける。
「いつまでめそめそと黙ってるんだ! 何か釈明しろ! このままじゃ学院を追放されて、実家まで潰されるぞ。お前たちは本当にそれでいいのか」
「い、いいもなにも……」
「クラウス様の言葉に逆らうなんて……」
「そもそも、ぼ、僕らが何を言ったところでお許しになんて」
「卑屈もいい加減にしろ! 本当にクラウスが機会を与える気がないなら、医務室から戻る前にお前たちは放校処分だ! 今、こうしてるのがクラウスのわかりづらい温情だってどうしてわからないんだよ!」
「――!?」
そうなの!?
声を荒げたボッシュに三バカが驚き、俺もだいぶ驚く。
弁明の機会を与えるもなにも、そもそも三バカのことを忘れていただけだ。俺の脳細胞は超高性能だが、不必要な情報をあっさり処分するお茶目な部分がある。
下手すると明日、教室でこいつらが媚びた顔を出してきても忘れていたかもしれない。さすがにそれはないか。まぁ、ないと思う。ちょっとは覚悟しておこう。
「く、クラウス様、申し訳ありませんでした!」
「悪気は、悪気はなかったのです。ただ、アルタイルの奴を大人しくさせて、クラウス様に首席の座を譲らせようと!」
「あっさりと断られた上に、三人がかりで無様に負けてしまいました。クラウス様の顔に泥を塗ってしまい、本当に後悔しています!」
そのボッシュの怒声に触発されて、黙っていた三バカが一斉に謝り出す。
キイキイと小うるさい声が三つ重なって、誰が何を言ったのかイマイチ聞き取れなかったが、とりあえず反省はしているらしい。
……ならまぁ、いいか。反省しているし、俺の責任でもあるし。
「次はないと思え」
「は、ははぁ!」
「ありがたき幸せ!」
「クラウス・ラズベリー万歳!」
いい加減、このコントのせいで俺の時間が削れるのが耐えられなくなってきた。
奴らの家を取り潰すことは可能だが、取り潰すのにも色々と手紙を出したり、なんか面倒な話を父に通さないといけなかったりしんどいのだ。
放校処分ぐらいは学長に言えば一発だろうが、もう許したし、別にいいか。
「優しいじゃないか、クラウス。まさかお咎めなしとまでは思わなかった」
平伏する三バカの横を抜けて、ボッシュが満足げな顔で肩を叩いてくる。
その顔を見ていると、なんか全部こいつの筋書き通りだったような気がしてくる。俺が面倒臭くてこいつらを許すまで読めてたんじゃないだろうな。
なんかちょっと怖いぞこいつ。
「お前、ホモなんじゃないだろうな?」
「何をどうしたらそんな結論になったんだよ。……と、ひとまずこいつらは放免ってことでまとめていいんだよな?」
「ああ、もういいぞ。とっとと連れ出せ」
いつまでもそこで泣かれていても迷惑だ。まったく、煩わしい。
俺ほどの能力なら学院生活も順風満帆と構えていたのだが、主席を譲らないアルタイルといい、色々と手間取ることもなくはない。
「意外とうまくいかないものだな。社交の場と学友ではやはり勝手が違う。父に付き合う友人は選べなどと釘を刺されていたが、あながち間違いでもない」
三バカはだいぶ悪い例ではあるが、こいつらとの出会いは今のところはプラスとマイナスならマイナスに振り切っている。累積クラウスポイントも、どうやらゼロより下の評価を作る必要が早々に見えてきたようだ。
あるいは採点は優秀な人間だけに留め、そこらの有象無象とは手を切るのも選択の一つか。この三バカも、俺から動かなければ今後は関わってくるまい。
「へえ、そんなこと言われてたのか。使い古しのありきたりな台詞だけど、実際に付き合う友人を選べって言われた人間が近くにいると感動するな」
「待て、ありきたりだと?」
「うん? まぁ、創作物とかだとありがちな台詞だよ。まぁ、大抵の場合は言う側の方が嫌な奴のケースが多いけど……クラウス?」
聞き捨てならない言葉が聞こえて、俺は思わず拳を握りしめてしまった。
ありきたり。ありがち。凡庸。無個性。なんてことだ。
この俺がそんなありがちでわかりやすい、ありふれた思想に染まっていただと!?
あまつさえそれをしれっと口にして、ボッシュにムカつく半笑いで指摘される羽目になるなんてとんでもない屈辱だ!
クソ! 信じられないところに地雷が埋まってやがった!
「お前たちそこで止まれ!」
「うひゃぁ!」
すごすごこっそりと退散しようとしていた三バカを捕まえる。
引きつった顔で振り返る三バカに、俺はとびきりの笑顔を向けた。
「学院にくる前、俺は父に友人は選べと忠告された。その教えに従うのなら、俺はここでお前たちを見限り、今後の学院生活で遠ざけるのが正解だろう。だが!」
それをありきたりと! ありがちと! アルタイルに無個性と笑われるなどと言われて! 誰が許せるものか!
「しかし! 俺はそんな通り一辺倒な考え方などしない! ラズベリー家の最新型であるところの俺は、長い歴史を持ちながらも革新的な思考に至った貴族だからだ! だから俺は『友人を選ぶ』などと古臭い考え方には囚われん!」
「……それなら、クラウス・ラズベリーはどうするって?」
「決まっている! 俺は『友人を選ぶ』のではない! 『友人に選ばせる』のだ!」
頭にクエスチョンマークを浮かべて、ノータリンどもが首を傾げている。
俺はその頭スカスカ連中にもわかるよう、崇高なひらめきを叩きつけてやった。
つまり、こういうことだ!
「お前たちに選ばせてやる! 今後の学院生活! 俺の友として、俺に相応しい実力と教養を身につけるために誠心誠意の努力を続ける二年間を送るか! それとも俺の友ではなく、なんか目につくたびに何かと嫌味を言われるわ嫌がらせを受けるわ、『あいつらラズベリーに嫌われてやがるぜー、マジエンガチョー』とされて退廃的な学院生活を記憶に刻むか! どちらかだ!」
俺はどちらでも構わない。選ぶのは俺ではなく、奴らなのだ。
前者を選べば、俺は将来の使える部下にして切磋琢磨する友人をゲッツ。もしも後者を選ぶ根性なしなら、向上心のない豚畜生を友とせずに済むというわけだ。
画期的すぎる! なんだこれ、俺は大丈夫か。こんな賢くて大丈夫なのか。
「父の教えをたたき台に、新たな活路を見出す……俺の歩いた道が道になるとは、昔の人はよく言ったものだな……!」
底知れない自分の将来性に思わず震えが出てきた。
今後は強く広く、この方針を打ち出していくことにしよう。気に入らない相手を潰すばかりでは先細りしてしまう。そう、選ばせるのだ。人間らしく!
「まぁ、アレだよ、お前たち」
そんな風に感動している俺を余所に、ボッシュが唖然とする三バカの肩を叩く。
三バカがアホ面でボッシュを見ると、奴は苦笑いそのものの顔で言った。
「今さらだけど……お前たちも付き合う友人はちゃんと選ぶべきだったよな」