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3・表現に行き詰まる理由と文章以外の解決法

 ある作品の中で表現に行き詰ったとき、それはなぜかを考えてみると、


  1・行動なり心理の描写の仕方がうまくできない。言葉が思いつかない。

  2・ある行動、ある心理描写がどの作品、どの登場人物でも一緒になる。

  3・物語の中で同じ行動が出てきて描写に苦しむ。

  4・行動や心理を書くが薄くて物足りない。


 即座に思いつくのはこういったあたりでしょうか?


 私自身の経験と想像ですので他にもたくさんあるかもしれませんね。

 もし本稿をお読みで、ほかに悩んでいることがあったらお聞かせくださいませ。


 さて、上記のように行き詰るパターンがいくつかあって、その原因を探ってみますと、やはりさっと思いつくところでは


  1・他作品の読書不足

    自分で書くだけでなく、広く多く読書して、表現がいろいろ

    あることを知る必要がある

  2・描写練習の不足

    そもそもその状況を書く練習が不足しているので書いて練習

    する必要がある

  3・構成不足

    同じ状況を繰り返さないため余分な場面をそぎ落とすなど、

    物語の構成をしっかり練る必要がある

  4・登場人物の性格づけの観察不足

    設定だけ細かくするのではなく、実際に人物を動かしたとき、

    どう動いてくれるはずなのか観察を深める必要がある

  5・物語の観察不足

    物語をどう進めようとしているのか、どう進めていくつもり

    なのかしっかり見直す必要がある


 このくらいでしょうか?

 一言でいえば「切磋琢磨せよ」ということに落ち着くのですが(笑)

 こうしてみると、やはり単純に語彙の問題、修辞の技法だけでもないように思われます。

 文章の書き方だけなら読書量と執筆の訓練量によって磨かれますが、これだけでは抜け出せないと。


 むしろ、本文を書く前の作業として、構成や設定のような設計図の工夫をするのがとても大事になると考えます。

 設計図がしっかりしていれば、描くべき場面の方針がしっかりと決められます。同じことを書かなくて済むようになるでしょう。また逆に、同じ行動や場面を描くにしても違った意味合いを持たせて描写を変化させたり、視点を変えて味わいを変えるなどできると思います。


 私が昔好きだった刑事ドラマのお話です。

 レギュラー登場人物の中に俊足の刑事がいて、彼が出るときにはほぼ毎回その俊足を披露していました(演出ではなく俳優さん本人がかなりの俊足でした)。

 しかし、複雑な小道や壁を乗り越えられたりして犯人に逃げられ追跡失敗、という場面がありました。

 このとき、同じ話の中でもう一度俊足を披露するシーンがあって、見事犯人を捕らえる結果となっていました。

 また別のお話では、二度目の疾走シーンがなく、別の刑事が理詰めで追い詰めるという物語になりました。

 ある時は他の刑事と二人で追いかけて二手に別れ、犯人は片方をまきました。が、路地から飛び出すところですでに彼が待ち受けていて、捕まえられる場面もありました。これなど直接走っているシーンは映されていませんが、いかにも速い足で先回りしたことが想像されます。

 俊足という設定上、トレードマークとばかりに高頻度で走るシーンが使われましたが、直接走るだけではない描き方と、なによりそれによって成功と失敗の両方が演出されていました。


「俊足の登場人物が走る場面」について、視聴者に対して飽きさせない工夫を、物語の構成、場面の演出、脚色によってしっかり行っていること、彼の俊足という性格設定を十分に考慮し生かし切っていることなどがとくに大事と思います。


 上記のように見せ方の工夫や話の構成によってそもそも描き方を全然変えてしまうなら、同じ描写が繰り返されたり類型的な描写になることを元から絶てるのではないか、というわけです。

 こういう工夫が作品中の表現の幅を広げ、パターン化せずにすむようになる、すなわち語彙が増える、の真意のように思えてなりません。

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