エイプリルフール企画 かぐや姫の望むもの
エイプリルフール企画だよ。
活字離れが深刻みたいですけど私は文字を紡ぎ続けます。
そんなわけで、よろしく!
「今は昔竹取の翁といふものありけり。」
昔話には、そう言った枕詞から始まるものだ。
むかしむかしのとは、御伽噺(おとぎ話)のことでたいていはこの言葉から始めれば物語は始まる。
昔話がたくさんあるとはいえ、竹取物語は女性を主人公に描いた最古の空想科学、もといサイエンスフィクションと言われている。
そして、その夢物語もついには現実のものとなり月は手の届くようになった。
いや、正確には観測できるものとなったというのが正しいだろう。
けれど、人類は冷戦の終了と共に宇宙から目を遠ざけるようになってしまった。
月の都こそないけれど空洞はあった。
月にウサギは居ないけれど、宇宙飛行士は跳ねていた。
そして、月にかぐや姫は見つからなかったけど…カグヤは月にたどり着いた。
「正倉院さん?」
そんな風に私は、昔を懐かしんでいた。
今も私は、どこかへ行ってしまったようだ。
そんな私を、水天宮さんは呼び止めていた。
「…何やっているんですか正倉院先生?」
「あら、深雪ちゃん!どうしたのかな?」
「…まったく忘れたんですか?まあ、いいですけど…とりあえず私が書いた作品を見てくれませんか?」
「ええ、いいわよ。」
そうして、私は立ち上がり彼女の作品を読むことにした。
正倉院奈菜と、書かれたプレートを首から下げていたが胸に当たって邪魔なので外した。
「それじゃあ、先生また後で!」
「えっ、どうしたの?」
「次の授業で使うマーカーを取りに行かなきゃいけないんですよ。」
「ああ、そうなんだ…それじゃあ、読んでおくね。それと、絶対にゴーグルを外さないこと!」
「わかりました。」
そう言い終わると彼女は廊下を走って行った。
ふたたび彼女の作品に目をやる…タイトルは「竹取協奏曲」。
「…たけとり…こんちぇると…なんですかね?流行りに乗った感バリバリじゃないですかやだー。
あれ、でもよく見たら他にも案が…なになに…「竹取の零」…零って…書いてゼロと読む。
「「RE・ゼロから始めるかぐや姫の地上生活」」、…ゼロが好きねえ。
「「ゼロの月使者」」…読み方はフォロワー…「竹取の・ゼロ」…なんですかね?
「「ゼロから始める月の魔導書」」…うん、いいと思う。
「「切り口・かぐや姫地球で活躍せり」」…確かに日本最古の異世界転生でもあるのだけど…。
「「輪廻・ゼロ」」…もう何かわからないよ。
「「月面京都カグヤ・かぐや」」…魔法少女もの?
「「真・かぐや転生」」…古い。
「「あの日見た竹の名前をワシはもう忘れた」」…翁かい!
「「言い寄れ!かぐや姫M」」…Mはムーンですか。
「「オキナオミナの奇妙な冒険」」…霊ものですね。
…あとは、元ネタがわかりません!もういいです。さっさっと、読みましょう。」
そうして、私は彼女の作品を読むことになった。
「今は昔…。」
中略
「…ここから書いたっぽいですね。あと、竹が光っていたのはDNAをゲノム編集した植物だった、竹の下には小判が入った壺を発見した、その小判でかぐや姫に服を買ってあげたと…問題無いですね。
う~ん、このかぐや姫さま挿し絵を見る限り少し現代みがありますね。
リアル路線に固めようとしたと…あっ、もうわかりましたよ。」
「かぐや姫は集まった皇子たちに品々を要求しました。皇子たちはもちろん失敗してしまいます。
けれども、そこへ迷いこんでしまった人がいました。」
「…うん?」
「その者は、年の若い少年で気がついたらここに居たようです。」
「…居たようです、ではおかしいですよね。誤植なのであとで言っておきましょう。」
「ここに居たのか!」っと、男はかぐや姫に言います。
しかし、彼女は「ふんっ、今さら来たって遅いのよ!私がいつまでもあなたのことを待っていると思ったら大間違いよ!」っと、かぐや姫は男に言いました。
「…ツンデレ…なんですか?かぐや姫?」
「私は、帝様と結婚するの!」
そう、かぐや姫は男に言いました。
「遅いよ、遅いよ…なんで…なんで来たの?…もう逢えないと思ったのに…もう帝様が不死の薬を持って来てしまうのに…。」
かぐや姫は涙を流し、そう訴えました。
「おっと、兄ちゃん?その辺にしておきな!」っと、奥から翁が現れました。
…翁が物凄く若いですね。
「へへっ、山で拾った上玉だ。欲しけりゃわしがいうものをよこせ!」
そう言うと、翁は男に六つの物を要求しました。皇子たちが失敗した宝、そして、帝に要求した宝を翁は求めたのです。
「いや、無理でしょ。」っと、声に出してしまった。幸いこの部屋には私しか居ない。
「さて、まずは火鼠の皮衣。」
「不正ですね、転生特権ですね!どうせ、アスベストですね!」
「火にくべても燃えない物だろ、ほら。」
そう言うと、男はかぐや姫に差し出された物の中から金を取り出した。
「ははっ、それが皮衣というのか!そんなものが火鼠の皮衣ものはずがない!第一、着れぬではないか!」
「確かにそうですね。しかし、これを叩いて伸ばしてはどうでしょうか。
そうすれば、服になりますよ。」
「くっ…。」
「次に、仏の御石の鉢」
そう言うと、男は空を指しました。
「けっして、光を絶やさないのは天なりて、鉢とは我が地なり。つまり、仏の御石の鉢とは太陽のことである。」
「くっ…。」
「次に、蓬莱の玉の枝。この世界のどこにそんなものがあるのだろうか、しかし、あなた方はすでに見ているはずだ件の物を、即ち蓬莱の玉の枝とは職人達の腕の事である。そんな大切なものを私は斬ることができない。」
そう男が言い放つと、周りから歓声が聞こえた。
件の職人達がその場所には居た。
「…くっ…。ええい、まだ3つだ。」
「燕の子安貝とは、女性器なり。それを粗末に扱ったが故にそなたには子がおらぬ。」
「…。」
ああ、翁さん黙り込んじゃった。
「…龍の顎の玉!龍の顎の玉は何処だ!そんなもの。」
「はてさて、龍とは何の事ぞ?貴様は京を守護する神の名を知らぬと申すか。それ、本気で言っているの?帝様の住むところを知らないで宝探しをさせたとは…滑稽だ。だからその…龍の顎の玉って…言うのはね。…そこにあるんだ。」
「ははっ、結局のところ見つからなかったのであろう。」
おっ、主人公がイキッたか?
「あるさ、ここに! 京を守護する神の玉とは即ち私の命だ!」
そう言い放ち、帝は翁に白刃を浴びせた。
「なっ…。」
「良くぞやってくれた…名の知れぬ者よ。ここは、取り囲んだ直ちに残りの者を捕えよ。」
帝の号令と共にたくさんの兵が屋敷に押し入った。
「かぐや!」
「遅い…何やってたの怖かったよ…。」
「悪い…こんなはずじゃなかったんだけど。」
「ばっか、ばっか…もう私から離れるなばか!」
「よし、月詠さん。お願いします。」
「ああ、わかった。」
「待たれよ。」
男がそこを振り向くと返り血を浴びた帝がそこには居た。
「なんですか?」
「ああ、君らはどこへ行くんだ?」
「未来です…。」
「未来か…。最後にもう一つだけ…。」
「何でしょうか?」
「不死の薬とは何だったのか…。私は、何を探していたのだろうか…。」
「帝殿、不死の薬とは未来に向かいあるく力、そして、消えることが無くなった過去、つまり、不死の薬とは私たちの後ろに作られる歴史であり、記録です。」
「まるで、謎解きだな…さらばだ…名の知らぬ者よ。」
そう男は、最後に言いどこかへと消えて行った。
その後
「帝様。」
「ああ、やってくれ…。」
「違う私達は!」
「騙されたんだ!」
「死にたくない!」
「突き落せ!」
「あああああああああああああ!」
「よい煙だな…過去か…確かに私は一度殺したものを殺せない、不死の者を殺せはしないな。
嗚呼、不死の煙よ、かぐや姫が居るであろう月へ届き給え。」
Fin.
「…ふう、なるほど…ですが伏線の回収が終わっていなかった気がしますね。」
まあ、それでもいいでしょう。小説とは自由であっていいものでしょうから。
「あれっ?まだ、続きがありますね。」
この事件は後に、帝の命により脚色され広く知れ渡っていったのである。
「いやはや…それはないですよ。」っと、私は笑いながらその小説を閉じたのであった。
元ネタがわからないタイトル
(感想欄にて募集 エイプリルフール終了まで)
ちくりん
バンブーアートオンライン BAO
竹取のオキナ
たけものフレンズ
タケタケカカック
竹林の老獪
かぐやがもともてなのはどう考えてもお前らが悪い
とある翁の愛娘
もしかぐや姫が竹取物語を読んだら もし竹