現代詩 廃墟の熊本城
二〇一六年三月熊本地震で
天守閣の瓦が崩れ落ち
反り返った曲線美がたまらなく人を惹きつける城壁が
そこかしこで崩れ
満身創痍でなおも気丈夫にそびえ立つ
刀折れ矢尽きた熊本城
廃墟!
廃墟の熊本城!
この異様に崩れ落ちた天下の名城
廃墟と化した熊本城の異様な美しさ
敗戦投手のように悲劇に泣く熊本城
何を語りかけるのか
泣くな
騒ぐな
歌うな
膝ま付き破れ傷ついた美剣士の熊本城
君は又キット蘇る
キット立ち上がる
泣くな
騒ぐな
涙ぐむな
廃墟は人を惹きつける
廃墟は人を待ち続ける
刀折れ矢尽きた幻のような熊本城を見た
敗戦の熊本城!
痛々しい
泣くな
騒ぐな
涙ぐむな
美少年の熊本城
この廃墟と化した名城熊本城は
崩れ落ち痛々しい城壁は
近い未来
風の名工と風の匠によって
風にそびえる熊本城が
又再建される
廃墟と化した風の熊本城
廃墟と化した水の熊本城
空しい
悲しい
哀しい
二〇一七年五月十日