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ニートはいつだって矯正対象

「主任! 出ました! Lv5ニート(クソニート)です!!」

「何!!」

「【始まりの園】を追い出され、そのまま餓死しました!」

「馬鹿な! 生きる事より働かないことを選んだというのか!?」

「はい。死に際の言葉は「働きたく……ないでゴ……ザル…………」でした」

「くっ! 第3班の班員に連絡! 対策会議を開く!!」

「はい、主任!!」



 デスニートランドのオペレーティングルーム。

 通常、デスニートランドに送り込まれた人間は5つの班のいずれかに振り分けられる。

 班をまとめる班長の上に「主任」がいて、ニートの社会復帰を監督している。


 デスニートランドで現場監督を務める彼らの給料は、ニートの親から支払われる200万から設備維持費などの減価償却が行われた後の残金が分配されるシステムだ。

 よって彼らの給料は、ニートが早く社会復帰できるようになればその分回転率が上がり、上昇するようになっている。

 逆に言えば、社会復帰する見込みのないニートの相手をした分だけ設備維持費が割り引かれ、給料が減ってしまう訳だ。


 高給が欲しければ、ニートを素早く更正する必要がある。

 頑張りがそのまま給料に直結する。デスニートランド職員の士気(モラル)は高い。

 そんな士気の高い職員5人が主任の前に勢ぞろいしていた。


「では、クソニートNo.3D281号の対策会議を始める。詳細は事前に送った報告書にあるとおりだ。特に新しい事実はない」

「主任、281号は餓死した後どうしていますか?」

勇者(ドレイ)として王城に召喚させた。現在訓練中だが、芳しくないな」

「了解です」

「意見がまとまったら勇者ルートは機械神降臨(夢オチ)で打ち切る。まずは意見(アイディア)を出してほしい」


 班長とスタッフ4人は、今まで何人ものクソニートを矯正してきた廃ニートの道のプロである。

 しかし、そんな彼らも今回は緊張を以って会議に臨んでいた。

 というのも、(くだん)のクソニート――ケビンに付けられた「ニートLv」は、最高ランクの5だったからである。


 ニートLvとは、どの程度の矯正難易度かを現すデスニートランドの単位である。

 「経済的に働く理由の無いニート」のLv1に始まり、「精神的外傷によるニート」、「強くやりたいことがあるが仕事に結びつかないニート」、「開き直ったニート」と、そういった区分けをすることで対処法をより効率化していく。

 だが、Lv5のニートは「魂がニートの形をしているニート」なのだ。そしてそれは決まった攻略法が存在しないことを示し、班員たちの緊張につながっていた。



 いくつもの案が出るが、これといった決め手に欠ける。

 そして彼らは、人道的な方法ではケビンを矯正できないと結論付ける。


「では、私の「天帝ルーム」で強制労働させますか?」

「うむ。強制してでも働かせるんだな。規則正しい生活と、強制労働への嫌悪感を募らせ、自発的な労働の方がマシと思わせるわけだな」

「はい。まずはどんな形でも労働経験を積ませようと思います」

「それなら勇者ルートからの転落コースで調整できるな……。魔王側に捕まり、奴隷になる設定でいこう」

「はい、主任!」


 こうしてLv5ニートの矯正計画はスタートした。

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