白銀の翼
私はいわゆる成金という奴です。
今日からザ・お金持ちな学校に転校します!
学校はやはりお金持ちなだけあって広くて大きい。前通っていた高校の10倍はある。
迷子にならないか心配だよ…
─────はい。迷いました。
何処だここ?
何故か公園みたいな所にいる。
「どうしたのですか?」
うっわー。イケメン!金髪碧眼…何?ねらっているの?その上白銀の翼!?
「校舎に行きたくて…でも迷いました。」
「くくくっ」
きゃー恥ずかしい。
イケメンに笑われた!!
でもこんなに広いんだもん。あんなに笑わなくてもいいよね?ふん。酷いイケメンだわ。
「着きましたよ。リルさん。素晴らしい百面相でしたね。くくっ」
「何で名前、知って…」
「有名ですよ。淡いピンクの翼を持っているので、女子から羨ましがられていますよ。」
ピンク…目立つから私はこの翼が嫌い。皆みたいなクリーム色の翼が欲しかったなぁ
「教室に着きましたよ。同じクラスのレイル・イグニーです。宜しく」
「知っていると思うけど、私はリル・ベルニー。宜しくね」
ん。先生らしき人と目が合った。
「あ。ベルニーさん。早くいらっしゃいな。皆様、今日からクラスメートのリル・ベルニーさんです。仲良くして下さいね」
「リル・ベルニーです。あの…どうぞ宜しくお願いします。」
「席は…そうね。ミリアさんの隣りにしましょう。」
真っ黒の髪に目、そして翼。
なんだか怖いな。でも凄く美人…。
「嫌。嫌ですわ。成金が隣りに座るなんて私が汚れてしまうわ。」
「そうですわね。お美しい漆黒のミリア様の隣りが穢らわしい成金は良くないですわ。」
「ええ。成金が漆黒のミリア様の隣りなんて酷いですわ」
周りが愉快そうにクスクスクスと嘲笑う
ひっどい。
なんて酷い言われようなの。私、何も悪いことしてないのにこんなに言われなくちゃいけないの?
「皆、止めないか。」
レイル…。キュン
キュン?きっと腹の音だ。お腹が空いているんたよ。きっとそうだ。絶対そうだ。
授業内容は前の高校よりずっとレベルは上だ。
でもしっかりと聴いていればついて行ける。
大丈夫。
「ちょっと貴女?レイル様に庇ってもらったからって調子に乗らないく下さいまし。レイル様は私のものですの。手を出さないでくださいまし。」
ミリア、怖っ。お嬢様怖っ。お嬢様恐怖症になりそうだよ…。
「人を物と言うのは酷いと思いますわ。最低ですわね」
「はっ。負け犬の遠吠えは聴きたくないですわ。ついでに教えておきますわ。レイル様は私の婚約者ですの。貴女の出る幕はありませんのよ?」
婚約者…?
この性格ブスのこの女が…?
私の出る幕は本当に無い──。
え?何動揺しているの。
私、ちょっとおかしいのかも。
「ミリア何を言っているんだ?婚約者はただ親が昔ふざけ半分で言っていただけだろう?俺はひ一目惚れしたみたいだ。…リルが好き。」
口調ってこんなに変わるものなんですかね…。
「リル…貴女、私の愛するレイルを取りましたわね…許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」
ぞわり
コイツは狂ってる
ミリアは憎しみのこもった目で私を睨み、帰った。
「狂ってる…」
レイルも同じ事を思ったみたいだ。
次の日、学校に登校すると私の机と椅子が無かった。
え?あれ?そうか。これが虐め…
クスクスクスとミリアはこっちを見て嘲笑っている。
まさに悪役。
ふつふつと怒りが沸いてくる。
コツコツ
ミリアが近づいてくる。
ぐっ
「痛っ」
髪を引っ張られる。
レイルの手にはハサミ。
まさか…
ジョキッ!!!
髪を切られた。
切られた髪が地面に落ちる。
とてもゆっくりに見える
「ミリア?おい!!何してんだよ!!」
「これでリルがブサイクになったわよね。ねぇ、私の方が綺麗でしょ?ねぇ、私を愛して下さいな」
「無理。リルをこんな目に会わせた奴を愛するなんて無理」
ミリアは俯いた。
ばっと顔を上げた。
にやりと不敵に笑って。
コイツはヤバい。やんデレとかいう可愛いもんじゃない。
「じゃあ、殺しちゃえば良いのよね。殺してから私も死ぬ。そうすればずっと一緒にいられるわ。私、どうして気づかなかったのかしら。ふふふふ」
何処からか折り畳み式ナイフを取り出し走ってレイルを刺そうとしている。
止めて!!殺さないで!!
ズシャアアア
紅く紅く視界が染まる。
ミリアの鉄の臭いが鼻をくすぐる。
ミリアの隣には同じ様紅く染まったレイル。返り血なのだろう。
「知っていると思うけれど好きです。付き合ってくれませんか。一生大切にします。」
「勿論よ。私も貴方が好き…だから。んっ」
初めてのキスは血の味がした。