何事もなくⅡ
貴龍目線です。
「失礼します。」
「貴龍か。入っていいぞ。」
「はい。学校のことでお話が。」
「何だ。」
「部活に入ることになりまして
入部届に判と記入をお願いしたいと思いまして。」
「・・・わかった。明日じいに押させておこう。」
「ありがとうございます。」
「お前が部活をするなんて珍しいな。」
「・・・・・失礼しました。」
静かに扉を閉める。
本当だ。この僕がブカツなんかに入るなんて。
考えてみれば。幼いころから見てきたのは屋敷に出入りする
【父さんに忠誠な金におぼれた人間】や
【父さんに金をねだる人間】
いい人もいっぱいいだけれど
父さんに会うときはそんな人間がいつも居た。
そして、僕は【それ】を沢山沢山見てきた。
だから、・・・僕は付き合う人を、無意識なのかはわからないが選んでいた。
父さんの口癖っていうのもあるけれど
あの父さんのエラそうな態度を見ると
僕はこうなりたくないという感情のほうが大きかった
と、自己解釈している。
そんなことで、僕はブカツやクラブなどには一切かかわりのない
生活を送ってきた。
まあ、こんな性格なのもあって僕の回りに人間は極力寄ってこなくなった。
『なあなあ、こっちきて遊ぼうぜ。』
・・・・・・・。
ああ、懐かしいこと思い出した。
こんな性格でも渚だけは僕を《 》として一緒にいてくれた。
だから渚がさそった部活には入る気がしたんだろうな。
不思議だ。
自分のことながら興味深い。
いつも、自分の意見を極力言わないようにしていたのに。
いつも、言われたことだけを忠実にこなしていたのに。
初めて、女子と言い合った。
初めて、自分のしたことを自主的に反省し謝りに行った。
初めて
初めて
初めて、とても時間か短く感じた。
とても楽しい時間だ出来た。
「こういうのもいいな。」
案外《 》はいいもので
案外《 》と居ると時間が短く、楽しく感じられる。
こういうのが普通なんだろうな。
「・・・《 》か。」
なんだか、明日から楽しくなっていく気がする。
こんな感情は渚と居る時ぐらいだ。
面に向かって言えないから心の中で言っておく
ありがとう
僕を《友達》と思ってくれて。
これからも、よろしくな。
読んでくださってありがとうございます。
書いたら楽しくなってきて貴龍のも書きました。
今度は真実のも書いてみたいです。