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1 無断欠席


 駒岐県立六小は歴史ある学校である。長きにわたって、文武双方に秀でた学徒を排出してきた。

 その中でも、六年つばき組は、特に結束の硬いクラスとして名高かった。


 そして、そのつばき組を悲劇は襲う。


 林場という男子生徒が数日にわたって欠席したのが事の発端であった。

 林場の欠席の噂が、さざ波のようにクラスの中に広まっていく。


 しかも、ただの欠席ではない。無断欠席である。

 林場の親友である青山がそれを聞いたとき、まずはこういう声が心の中にわき起こった。

「そんなことが許されていいはずないじゃないか!?」

 学生は、学校に行かなければならないものである。それは、林場も熟知しているはず。


 にもかかわらず、休むのには理由があるはずだ。

 林場以外のクラスのみんな39人が同じ考えに至ったようである。すぐに学生たちによって、緊急ホームルームが開催される。


 普通のクラスの学生なら、ホームルームなんてしないで、さっさとホームに帰りたいと思うところだろう。

 この辺り、つばき組では意識が違った。


「林場君は家業を手伝わなきゃいけないから、学校に来れないんじゃないの?」

 夏川という女子が発言する。

 貧しい父親の仕事を手伝うために、その息子の生徒が学校を休まなければならないと言う事例があった。

 嘆かわしいことだ。みんなそう思っていた。小学校は義務教育だというのに。

 林場がそんな理由で学校に来れないのなら、クラスのみんなでアルバイトをしてお金を作って、林場にあげればいい。

「いいや、それはない」

 青山が立ち上がって発言した。

 青山は林場の親友で、彼の家庭の環境も熟知している。

 林場の家は生活苦などとは無縁だった。

「じゃあ、どうして林場君は来ないのよ?」

 いい質問だった。親友である青山にすら、それは分からない。





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