現実
今日だけだとしても いい気分になった
お姉さん有難う!本当に有難う!
心で何度も繰り返し呟いたのだった
そして授業参観は終わり 下校時間になった
さあ施設に帰ろう・・・
もうすぐで僕には辛い現実が待ち受けている
教室を出て 靴に履き替えて 表に出た途端に
足が急に重くなった気がした 帰るの嫌だな〜
ズルズル歩いていると 呼び止める声がした
「公太〜 少し待ってくれてもいいじゃんか」
僕に走り寄って立ち止まり 息を整えて言った
「さあ 帰ろうぜ〜今日はどの道にしようか」
一緒に帰るのが 当たり前みたいじゃないか
やっぱり今日は変だよ 何かが変だ
僕はずっと 一人だった 何時も一人だった
それはこれからも変わらないと思っていた
色々な事を 考えながら歩いてると
「公太!」横で僕の名前を 急に叫んだ
「うわ!何だよ駿ビックリするじゃないか」
え?僕今こいつの事を 名前で呼んだよね?
「公太 今日は本当にどうしたんだよ?」
「何でもないよ それより今名前で」
そう言いかけた時だった
校門の方を見て 駿と呼ばれた少年が叫んだ
「公太!見ろよあの車!すげ〜ぞ!」
「うわっ!本当だ すげ〜な!」
「あ!あの車 学校の前で止まったぜ!」
駿は鼻息を荒くして 興奮しながら言った
そして運転手は車を降りると 後ろのドアに
移動して立ち止まり ドアを静かに開けた
「ど どんな人が乗ってんだろうな!」
駿は興奮冷めやらずと 言った感じだった
そしてドアが開いて 降りて来た人を見て僕達
は声を上げて驚いたのだった