一人ぼっち
僕は産まれて間も無くして 施設に預けられた
そして施設で育ち 施設が僕の家だった
小学生の時 授業参観や運動会等 親の居ない
僕は何時でも 1人だった
運動会の時に 皆が両親と美味しそうに 食べ
ているお弁当が とても羨ましくて 何時も
それを僕は遠くから 見ていた
両親の居ない僕に誰も近寄らず 友達は誰も
出来なかった
何時も 僕は 1人だった・・・
友達の居ない学校は 面白くなかった
昼休みになると 皆は給食を早く食べ終えて
運動場で 楽しそうにドッチボールをしていた
それを何時も校舎の窓から 眺めていた
いいな 楽しそうだな そう思いながら・・・
そんなある日の出来事だった 学校から帰って
いる時に 何処からか鳴き声が 聞こえてきた
僕は耳を済まして その鳴き声の方へと歩いて
行った それはまるで吸い寄せられる様に 足
が動いていた
そして更に進むと そこは古ぼけた神社だった
鳥居を通り入ると お社の入口に辿り着いた
その鳴き声の主は 仔犬だった
ダンボールの中から 仔犬は 僕の方を とても
寂しそうな目で 見つめていた
「そうか お前も一人ぼっちなのか」
頭を撫でると 仔犬は尻尾を振りながら
とても 嬉しそうにしていた
内心僕も嬉しかった もう一人ぼっちじゃない
そう思ったからだった