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「デートとは、カッコ良く言い直したただの外出」」

オリ小説2回目です。


正直連載しすぎてサイクルが遅くなるのですが。


お付き合いください・・・


時刻は午前10時ジャスト。

場所は……うまく言えないが街中と表そう。

俺、鳴瀬一真は早朝に幼馴染に襲われて、デートに付き合う羽目になった。

確かに今日の予定はないし、たまには外出しようとも考えてはいた。

「ねぇ一真、何食べようか? 私はパスタかハンバーグを食べようかな~と思うんだけど、近くにテレビで紹介してたハンバーグ屋さんがあるんだよ!? 一真もハンバーグがいいならそこに行こうかなと思ってるんだけど、パスタの方がが良いならいつもの所で食べたいし……ねぇどうする一真?」

奈月がそこそこ速いスピードで昼食のメニューを決めにかかってくる。

俺は外で飯を食う事はほとんどない、比喩とか大袈裟とかじゃなくて真面目に経験がない。

食べたというならば、精々ファストフードのハンバーガーくらいのものだ。

それに何か外食ってそれほど美味しくないし、値段も高いし非経済的と思うんだけどな……

「一真?ねぇ聞いてるの?」

ええい、うるさい。

しかもコイツちゃっかり腕を組ませてくる、これじゃカップルみたいじゃねえか。

「ああ、聞いてるよ。 飯だろ?」

素っ気無い返事だが、これぐらいが丁度いい。

「そうだよ、一真は何食べたい?」

フッ、俺に食べ物の意見を求めたのは間違いだったな。

「納豆コーヒーゼリーサンド」

知ってる人いますか? 絶妙な味のバランスで、ネバネバとプルプルの食感がハーモニーを奏でる最高に奇抜で美味いB級グルメ。

「……キモッ」

おいおい、凄いジト目で睨んできたよコイツ。

彼氏だのなんだの言う割に厳しいよな。

「お前の食いたいもののあるとこに行けばいいんじゃねえか?」

奈月の食欲は留まるところを知らない、外食では好きなだけ食わせるのが効果的。

「………分かった、行こっ」

口元を尖らせて、頬を膨らませて腕を引っ張る奈月。

アニメみたいに可愛いもんじゃない、普通にふてくされてるだけだ。

街中というだけあって、多くの人とすれ違う。

客観的に見れば{美少女}に分類される奈月はかなりの注目を浴びる。

そしてソイツに腕を引っ張られてる俺も、望まずとも視線を多く浴びてしまう。

普通に恥ずかしいわ。

そうこう考えるうちに、奈月に足が止まった。

「ここだよ、一真」

奈月は目の前の建物を指さした。

{ラーメン 清作}

どこからツッコむのが正解なのだろうか。

まず、誰もラーメンの話などしていなかった。

そして奈月は猫舌なのでアツアツラーメンは苦手のハズ。

更にここは近所でも不味いと評判の売れないラーメン屋。

以前に一回だけ食べて、少し失礼な物言いだが、お世辞にも美味しいと言える味ではなかったな。

「入ろ、一真」

奈月に腕を引かれて店に入る俺。

「ヘィらっしゃい!」

元気な声で迎えてくれるおじさん。

人は良いのに味がなぁ……

「おじさんっ、ごま塩ラーメン二つ!」

「おうよ!」

流れるような注文をする奈月。

お前仲いいのか? ここのおじさんと。

カウンターは常連客のテリトリーらしいのだが、常連客は一人もいない。

なのでカウンターに座らせてもらった。

「水だ」

おじさんがコップに冷水をいれてくれた。

当たり前に見えるが、素早く水の出る店はいい店と俺は思う。

「んっ、ごくごくごく…ぷはっ」

実際の擬音とは違う気もするが、豪快に喉に水を流し込む奈月。

「おじさん、お客さん来てる?」

奈月が聞きにくい質問を平気でした。

「……いや、全然だ。 昼時もガラガラだよ」

その口調は気のせいか少し重苦しい感じに聞こえた。

「ヘィ、おまち」

そうこうしてる間に注文したごま塩ラーメンがきた。

前に食べたのは味噌ラーメンだったから、これは初めてだな……

俺は割り箸を通ぶって口で割って、ラーメンをすくって口に運んだ。

運んだ。

そして咀嚼して、喉を滑らせた。

う、美味ぇ……ゴマの香ばしい香りと塩の優しい香りがベストマッチだ。

味噌ラーメンの比じゃねぇ……こんな美味いラーメン食べたことがねぇ。

俺は蓮華でスープをすくって啜った。

こっちも美味い。

塩の味だけじゃなく、ほんのりと甘味を感じる。

この甘味はなんだろう……

「ココアだよ、一真」

ココア? ココアだと!?

あの黒いココアからこんなに白に近いスープができるもんなのか?

それは流石に嘘くさい気がするがなぁ。

「白ココアって聞いたことあるでしょ?」

白ココア、確かに聞いたことあるな。

確かホワイトチョコレートから作ってるから白いとか。

そうか……この優しい甘味は白ココアの甘さか、これは美味い!

食通のごとく分析を終えた俺は、本当に美味しいラーメンをスープも残さず食した。

「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでしたっ」

奈月もほぼ同時に食べ切った。

そう言えばそんなに熱くもなかったし、奈月に合わせてくれたのかな。

「一杯490円だ」

おじさんはそう言って丼を片付けてくれた。

なんでこんなに美味いのに、味噌ラーメンだけあんなに……

「一真、この店ね、元々味噌ラーメンはメニューにないんだよ」

奈月が驚愕の発言。

み、味噌ラーメン無かったのか? 

というかさっきから心を読むな。

「一真がお品書きも読まずに{味噌ラーメン一つ}とか言うから急拵えで作ってくれたんだよ?」

……急拵えで、作ってくれたのか。

メニューにない味噌ラーメンを。

わざわざ俺の為だけに。

「余計なこと言うな、奈月。 客の食いたいもの用意すんのが俺の仕事だ」

おじさんが丼を洗いながら言った。

「おじさん……いくらお客さん第一でも、メニューにないラーメンを作るのはもうやめなよ」

「……いいんだよ、直にメニューにも載せる」

「元々この店はごま塩ラーメンだけだったじゃない」

奈月とおじさんが口論を始めた。

そっか、この店はごま塩ラーメンが看板だったのか。

だからあんなに美味いラーメンを……

「生意気言うなよ、奈月」

おじさんが声を半音下げて言った。

「客が食いたいものを食わせるのが、俺の仕事だ」

洗った丼を除菌ボックスから取り出した布巾で拭いているおじさん。

俺は何故かは知らないが、思わず言ってしまった。

「こんなに美味いラーメン、知らない客がまだまだ居るんじゃないのか?」

俺の口は止まらなかった。

「客の食べたいものを食べさせるのは良いことだと思う、でもその食べ物が不味かったんじゃ意味ないと思うぜ。 正直、おじさんの出してくれた味噌ラーメンは不味かった、美味しいとはとても言えない食べ物だった。 でも今食べたごま塩ラーメンは最高に美味かった、お世辞とかじゃなくて俺はマジで美味いと思ったぜ。 ……うまく言えねぇけどよ、本当に美味いものを食わせるのが、あんたの仕事じゃないのか?」

おいおい俺何言ってんだ!

これはグルメ小説じゃねぇんだよ、殺されるぞ!

俺は鉄拳制裁を覚悟して、歯を食いしばった。

が、

「クッ……ハハハッ……アッハッハッハッハッ!」

突然笑い出したおじさん。

いや、逆に怖ぇよ。

「笑わせてくれるじゃねぇか小僧、名前は?」

おじさんが睨んできた。

俺は目を逸らしかけたがギリギリそらさずに応えた。

「鳴瀬、一真です」

というか奈月からは何も聞いてないのかな。

結構仲良さそうだったけど。

「一真か、いい名前だな。 奈月の話してた通りの男だな」

話してんじゃねえか。

奈月はどんだけここに来てんだよ。

「爪楊枝みたいに細いけど、真っ直ぐ真の通った男って聞いてるぜ」

爪楊枝とはなんだ。

例えが貧弱すぎるだろ。

「また食べに来い、今日はサービスだ、帰っていいぞ」

おじさんはそう言うと店の奥に戻っていった。

何度も言うが、これはミスター〇っ子とか、美味〇んぼとは全然違うから。

グルメ小説じゃないから。

粋な計らいでタダで昼食を終えた俺と奈月は店を出た。

「格好良かったよ、一真」

そんな言葉は聞き飽きているのだが、それだけじゃなかった。

頬っぺたにキスしてきた。

☆✖!?〇

「て、てめっ、何しやがんだっ!」

ヤンキーばりに声を上げて威嚇する俺。

頬っぺたキスなんて友達同士のやる事じゃねぇよ、恋人同士でやるもんだ。

「私と一真は恋人だから問題無~いっ♪」

……ムカツクッ!





そんなこんなで午前中の行動は終わった。

まだ午後の6時間もコイツとデートなんて拷問だ。

ってかコイツが嫌というかコイツの性格が嫌なんだよな……

宏臣なら好きな性格なのに。

ホントにグルメ小説かと思うくらいに熱く語らせましたが。


これは高校舞台のコメディです。


ご安心ください。

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