「瀬川にとってつまさきとは」
「瀬川にとってつまさきとは」
つまさき三部作?
小話ここで終了です
つまさきって、色々ありますね…(遠い目)
「瀬川にとってつまさきとは」
「おれにとって、つまさきですか?」
神尾に続きつい訊いてしまった秀一の質問に、外科オフィスの休憩コーナーに昆布茶を飲みにきていた術後管理専門看護師瀬川が無表情に視線を向ける。
ダメージをくらいながらも、つい好奇心で瀬川にも訊いてしまった秀一なのだが。
極真面目に、不機嫌ともとれる無表情のまま瀬川が多少俯いて答える。
「そうですね、血管確保する必要が出ることが多いですから、…―――。
できれば、健全な状態であってほしい部位ですね。…」
「そ、そうなんだ?」
思わず瞬いて見直す秀一に、瀬川が少し俯いて、――まるで其処に、処置する必要のある足先をみているような姿勢でいう。
「腕の血管に点滴を打ち過ぎて、もう使えなくなっていることも多いんです。そうした際に、点滴を入れる血管を確保する為に、ぜひ、足の甲部、とくに皮膚は健全でいてほしいですね。血管確保して、点滴を固定しても大丈夫な健全さと丈夫さが是非ほしいです」
親指の先などから確保しなくてはならないときもありますからね、と。
極真面目に思い詰めた無表情で昏く云い切る瀬川に、鷹城秀一が思わずひきながらもうなずく。
「…そうなんだ?血管確保?」
昏い視線で、俯いた先にはいままで処置してきた足先の幻がみえるのか。
「…どうしても、そこでも確保できないとなると苦労しますからね、…――」
低い声でいう瀬川に迫るものを感じて、秀一がうなずく。
「な、何かごめん、…―――すみません、瀬川さん、…」
「いえ、秀一さんの足は、血管がとりやすくて好きでしたよ。勿論、潰れてた右足首は保全処置が大変でしたけどね」
「…あ、ありがとう、―――」
顔をあげて真顔でいう瀬川の無表情に向き合って、思わず秀一が礼をいう。
「それほどでもありませんでしたよ。あのときの処置は、全身管理の方が大変でしたからね。…でも、血管が丈夫でしたので、点滴を腕にさせたのは幸運でしたね。もうすこしで、脚から、―――」
何を思い出すのか、宙を仰いで沈黙する瀬川にそっ、と。
「…すみません、…――大変お手数をお掛け致しました、…」
「仕事ですから」
宙を見つめたまま、瀬川が何を思いだしているのか、淡々というのに。
――え、えっと、…――うん。
鷹城秀一が以前、殺されかけて死にかけた際に。滝岡と永瀬達の努力でこちら側に引き戻されたことは知ってはいた秀一だが。
―――にいさん達とはまた、苦労をかけちゃった性質が違うよね、…。
「…でもまあ、秀一さんのときは、体位変換に透析、吸着装置の交換と、…―――その位でしたからね。…呼吸管理がなかったから、まだ楽でした。秀一さんは本当に丈夫ですね。自発呼吸がきちんと続いていたんですから、大変たすかりました。一時、心臓も止まったことを考えると、本当に丈夫ですね。たすかりましたよ」
本当に感謝しているらしい瀬川の言葉に、反応に困って鷹城秀一が無言になる。
しばし、無表情な瀬川と向き合って。
昆布茶を手に、無言で鷹城秀一を見返す瀬川。
固まって、つい何をいえばいいのかわからないでいる秀一。
「…え、えっと、…―――。あ、ありがとう?」
言葉につまって何とかくちにしてみてまだかたまっている秀一に。
「よし、準備できたぞ?これから、おまえは有給休暇だ。おまえの上司からも許可を取った。行くぞ」
「…に、にいさん、行くってどこへ」
会議他を最速で終わらせて、帰宅する際に秀一を連れて行く為に現れた滝岡に肩を逃げられないように確保されて。
引きつっている鷹城の顔を、瀬川が無表情に眺める。
診察と検査を終えて外科オフィスに強制送還されていた秀一を逃がさない為に。
実は、逃げるすきを伺っていた鷹城秀一の引き留め役として、駆り出されて会話していた瀬川であるのだが。
冷静に無表情で考えるのは。
―――…本当に、助かってくれてよかったですね。
以前、永瀬もいっていたことだが。
鷹城秀一の激甘兼激辛な重度の保護者としてしられている滝岡と関。
その二人の内、関が。
鷹城がもし回復しなければ、――あるいは、通常の生活に復帰できなければ。
確実に、鷹城の為に療養食しか作らなくなり、これまでのような―――つい先日いただいた実に美味い鍋のような――普通の料理を作らなくなるだろうとは。
――おれたちの食生活の為にも、たすかってくれて本当によかったです。
無表情なまま、滝岡に強制的に休養に連行されていく鷹城秀一を見送る術後管理専門看護師瀬川である。――――
瀬川と永瀬のコンビも良い味だしてます
アイスのこおるくんを食べる為にがんばる永瀬の話も書きたい…
そして、やはり鷹城秀一くんは仕事を施策して
滝岡総合病院への負荷を減らすべきだとおもいます、はい




