バカップル、異世界へ
AIにバカップルが異世界にいって残念スキルな話を書いてと指示しました。
並行世界の話。
「しゅー、またゲームしてるでしょ」
「まこちゃんこそ漫画ばっか読んでるじゃん」
そんな他愛もないやり取りをしていた、佐波峻と皆川真。
いつも通りの休日。
二人はお互いを「しゅー」「まこちゃん」と呼び合い、ただ平和に過ごしていた――はずだった。
しかし、その瞬間。
リビングの床に、光り輝く魔法陣が浮かび上がった。
「えっ、なにこれっ!?」
「お、おい、まこちゃんっ!」
次の瞬間、二人の身体は眩しい光に包まれ、視界がぐるりと反転する。
王城の召喚陣
目を開けると、そこは石造りの大広間だった。
玉座の前に並ぶ鎧の兵士たち。
そして、白髪の王が立ち上がる。
「勇者よ! よくぞ来てくだされた!」
「は?」
「……え?」
ぽかんとする二人。
けれど王の言葉は続く。
「この世界は魔王の脅威にさらされております。どうか、勇者の力で――!」
「じゃあ、俺たちの力を試してみるか」
峻が促され、魔法陣に手をかざす。
光が彼を包み――
【スキル:なくしもの探知】
「…………」
「…………」
まこちゃんが沈黙し、兵士たちがざわつく。
「な、なくしもの探知……!?」
「鍵とか靴下を見つけるのに便利そうですね……」
「ちょ、ちょっと待って! しゅーは残念スキル担当ってこと?」
「う、うるさい! まこちゃんだってやってみろよ!」
真が渋々手をかざす。
【スキル:落し物吸引】
「……」
「……」
峻が思わず吹き出した。
「おい、それ、俺の探知したやつ吸い寄せられるんじゃね?」
「なにそれ……私たち、夫婦漫才みたいなスキル……」
兵士たちの失望のため息。
けれど王だけは深刻な顔で呟いた。
「……いや、待て。この力こそ、魔王を討つ切り札になるやもしれん……」
王城に集められた兵士や大臣たちは、冷たい視線を二人に投げかけていた。
「なくしもの探知……?」
「落し物吸引……? 戦闘にどう使うというのだ」
「勇者召喚は失敗だったのでは……」
ざわざわと失望の声が広がる。
そんな中、峻と真は肩を寄せ合って小声で話していた。
「なぁまこちゃん、俺ら勇者じゃなくて“落とし物係”って感じじゃね?」
「……でもしゅーと一緒なら、何でもいいかな」
「……そういうこと言うの、ズルい」
「えへへ」
二人の世界が一瞬で形成され、場の空気を完全に無視。
兵士のひとりが小声で呟いた。
「……本当にあれで大丈夫なんですか、陛下」
「……あれが大丈夫でなければ、この世界は終わりだ」
王はどこか確信めいた表情でそう答えた。
初めての依頼
次の日。
二人は「村で起きた盗難事件を解決してほしい」と依頼される。
「よし、スキル試すチャンスだな」
「……私たち、RPG的にいきなり魔王討伐じゃなくて“落とし物探し”から始めるんだね」
村に着き、聞き込みをすると――
「最近、倉庫から食料が消えるんです。誰がやったのか全く分からなくて……」
「よし、じゃあ俺の【なくしもの探知】!」
峻の手が光り、矢印のような光が地面を走る。
「おぉ……! 倉庫の裏の森の奥に……」
真が前に出る。
「じゃあ次は私の番。【落し物吸引】!」
森の奥から――ごっそりと食料袋が空中を飛んで戻ってきた。
同時に、袋にしがみついた盗賊まで引きずられてくる。
「ぎゃああああああああああああ!」
村人たち「「「…………」」」
兵士たち「「「…………」」」
手のひら返し
「すごい! 一瞬で盗賊を捕まえた!」
「しかも盗まれた物も全部戻ってきてる!」
「勇者様、ばんざーい!」
村人たちは一気に二人を英雄として讃え始めた。
「なぁ、まこちゃん」
「うん、しゅー」
「これ、もしかしてチートスキルじゃね?」
「……うん。地味だけど、私たちが使うと便利すぎる」
二人は顔を見合わせ、声を揃えて笑った。
王城にて
その報告を受け、王は深く頷いた。
「やはり……彼らこそ、真の勇者だ」
大臣「で、ですが! 戦闘能力は皆無ですぞ!?」
王「ふっ……魔王の力の核心は“決して誰にも見つけられない失われた核”にある……。それを探し出し、引き寄せられる者が現れぬ限り、この戦は終わらんのだ」
こうして、誰も期待しなかった残念スキルは――魔王討伐の唯一の希望と目されることになるのだった。
王城から遠征を命じられた峻と真は、護衛の兵士たちと共に森へと向かっていた。
目的は――森に巣くう魔物の討伐。
「……ねぇしゅー」
「ん?」
「やっぱり、私たち二人だけじゃ心細いね」
「大丈夫だって。俺がいる」
峻はそう言って、さりげなく真の手を握る。
「……戦場でイチャイチャするな」
護衛兵が思わず突っ込みを入れた。
魔物の襲撃
その時――森の奥から、低いうなり声が響いた。
「グルァァァァ!」
茂みをかき分けて現れたのは、黒毛に覆われた巨大な狼型の魔物だった。
兵士「で、出たぞっ! 影狼だ!」
鋭い牙が光る。
兵士たちが剣を構えるが、その速度に圧倒される。
「くっ……速いっ!」
真が怯えて峻の腕を掴む。
「しゅーっ……!」
「大丈夫、俺たちにはアレがあるだろ」
残念スキル発動
峻が叫ぶ。
「【なくしもの探知】!」
光の矢が走り――狼の影の中に隠された“弱点の爪”を指し示した。
「まこちゃん、あそこだ!」
「うん! 【落し物吸引】!」
真が力を放つと、狼の爪がガキン!と音を立てて強制的に引き抜かれる。
「グギャァァァァァッ!」
兵士たち「「「…………」」」
狼はバランスを崩し、よろけて倒れ込む。
「今だ、討てぇ!」
兵士たちが一斉に斬りかかり――影狼は絶命した。
バカップルの余韻
兵士たちが勝利に歓声を上げる中、峻と真は顔を見合わせて笑った。
「ねぇ、しゅー」
「ん?」
「私たちのスキルって……けっこう最強かも」
「だな。てか、まこちゃんと一緒だと、なんでも強くなる気がする」
真は頬を赤らめ、少し拗ねたように言った。
「……こういう時でも、そういうこと言うんだから」
「だって本当のことだし」
兵士たちはまたもや呆れ顔。
「……戦場でイチャつくの、やめてくれないかな」
だがその光景に、王が語った言葉を思い出す兵士もいた。
――この二人こそが、魔王を討つ切り札になる。
森を抜けた峻と真たち一行は、開けた丘へと出た。
そこで待ち構えていたのは――漆黒の甲冑を纏う男。
「貴様らが“勇者”か」
低い声が響き、地面が震えた。
兵士「ま、魔王軍幹部……“影騎士”ヴァルドだ!」
甲冑の隙間から滲み出る闇が、周囲の草木を一瞬で枯らしていく。
兵士たちは青ざめ、剣を握る手が震えていた。
絶望の力差
ヴァルドが剣を振り下ろすと、兵士数人が一瞬で吹き飛ばされた。
「ぐぁあっ!」
「な、なんて強さだ……!」
真が峻にしがみつく。
「しゅー……あの人、今までの魔物と全然違う……!」
「……わかってる。けど、俺たちにしかできないことがあるはずだ」
峻は必死に考えた。
――あの剣を封じれば。
――核になる影を暴ければ。
「まこちゃん、行くぞ!」
二人の連携
峻が叫ぶ。
「【なくしもの探知】!」
光の矢がヴァルドの鎧を走り抜け――“胸の奥に隠された黒い核”を指し示した。
「まこちゃん、胸だ!」
真は強く頷き、両手を広げる。
「【落し物吸引】!」
ごうっ、と風が巻き起こり、ヴァルドの胸から黒い球体が引きずり出される。
「な、なにぃ!? 我が影核を――!」
愛の力
だが核はヴァルドの力で必死に抗い、空中でもがいていた。
「しまった……引き切れない!」
真の額に汗が滲む。
その瞬間、峻が彼女の手を強く握った。
「……まこちゃん。大丈夫だ、俺がいる」
「……しゅー」
二人のスキルが重なり、光が爆ぜる。
探知と吸引――それはただの残念スキルの組み合わせではなかった。
二人の想いが共鳴した瞬間、核は完全に引き寄せられ、真の掌に収まった。
「……やった!」
「グォォォォォォッ!」
ヴァルドは膝をつき、闇となって崩れ落ちる。
バカップルの余韻
兵士たちは唖然としていた。
「……あの幹部を……!」
「残念スキルで……倒した……だと……?」
峻と真は顔を見合わせ、思わず笑ってしまう。
「ねぇ、しゅー」
「ん?」
「やっぱり私たち……最強のバカップルだね」
「だな。二人一緒なら、魔王だって怖くない」
兵士たちはまたもや突っ込む。
「……お願いしますから、戦場でイチャつかないでください」
だが誰もが心の奥で思っていた。
――この二人こそ、魔王を討つ真の勇者だ。
幹部ヴァルドを倒したあと、王城に戻った峻と真は英雄のように迎えられた。
けれど二人は浮かれすぎることなく、静かに夜を過ごしていた。
日常の幸せ
「ねぇしゅー、これ飲んでみて」
真が差し出したのは、城の厨房からもらったハーブティー。
「お、サンキュ」
峻は一口飲み、すぐに顔をしかめた。
「にがっ!」
「ふふっ、やっぱり?」
真は自分のカップを持ち上げ、優雅にすする。
「でも体にいいんだって。ほら、飲んで」
「うぐ……まこちゃん、鬼教官……」
「はいはい、しゅーは私がいないとすぐ不健康になるんだから」
そんな会話をしながら、二人はソファに肩を寄せ合って座った。
ささやかなロマンス
窓から差し込む月明かりに、真の栗色の髪が銀色に輝いて見える。
峻は無意識にその髪を指先でなぞった。
「……なに?」
真が少し恥ずかしそうに見上げる。
「いや、まこちゃん、月明かり似合うなって」
「……もう、またそういうこと言うんだから」
頬を赤らめて、真は峻の肩に頭を預けた。
「……でも、ありがとう。しゅーがいるから、怖くない」
「俺もだよ。まこちゃんがいるから、戦えてる」
二人の指先が絡み合う。
ほんの小さな触れ合いが、何よりも大きな力になっていた。
魔王城への決意
翌朝。
王から、ついに魔王城への突入作戦が告げられた。
「魔王の居城は深い霧に覆われております。その核心を暴き、核を引き寄せられるのは……あなた方だけです」
兵士や大臣たちはまだ半信半疑だった。
だが、峻と真は顔を見合わせ、力強く頷いた。
「行こう、まこちゃん」
「うん、しゅー。一緒に……最後まで」
二人の背中はもう、迷いのないものだった。
魔王城への道
空を覆う漆黒の雲。
崩れかけた橋を渡り、峻と真は魔王城の門の前に立っていた。
「ついにここまで来たな」
「うん……しゅーと一緒に歩いてきた道、全部がここにつながってたんだね」
手を握り合う二人。
その指の温もりだけで、恐怖はすべて消えていった。
魔王、降臨
玉座の間に進むと、巨大な闇の翼を持つ魔王が待ち構えていた。
「人の身で、我が城まで辿り着くとは……勇者とやら、称賛してやろう」
魔王の声は地鳴りのように響き、兵士たちは膝をついた。
けれど、峻と真は一歩も引かない。
「俺たちは勇者じゃない。ただのバカップルだ」
「でも、二人でなら――あんたを倒せる!」
決戦開始
魔王が漆黒の炎を放つ。
峻はとっさに真を抱き寄せて転がった。
「危なっ! まこちゃん、無事か!?」
「う、うん……でも、抱きつくのは戦い終わってからでいいから!」
「いや、今も大事だろ!」
「……バカ!」
兵士たち「「……戦場でイチャつくのやめろ!」」
だがそのやりとりすら、恐怖を打ち払う力になっていた。
残念スキル、真価
峻が叫ぶ。
「【なくしもの探知】!」
光の矢が走り、魔王の胸の奥深く――
“誰にも見つけられなかった影核”を照らし出した。
「そこだ、まこちゃん!」
「わかった! 【落し物吸引】!」
魔王が咆哮する。
「そのような力で……我を引きずり出せると思うなァァァ!」
黒い霧が核を覆い隠し、吸引を阻もうとする。
真は歯を食いしばり、必死に力を込めた。
「だめ……引ききれない!」
愛の共鳴
峻は真の手を取り、強く握った。
「大丈夫だ。俺とまこちゃんは、二人でひとつだろ」
「……しゅー」
二人のスキルが重なった瞬間、光が爆発する。
なくしもの探知が核を“照らし続け”、落し物吸引が“逃がさず引き寄せる”。
その力は――二人の心の絆に呼応し、想像以上の力を発揮した。
「来いッ!」
「一緒にッ!」
核が弾けるように真の手に収まり――
魔王の身体は悲鳴と共に崩れ落ちていった。
勝利と告白
玉座の間に静寂が訪れる。
兵士たちは呆然と立ち尽くし――そして大歓声を上げた。
だが峻と真は、ただお互いを見つめていた。
「ねぇ、しゅー」
「ん?」
「私……この世界に来て、怖いこともいっぱいあったけど……全部しゅーがいたから頑張れた」
「……俺もだよ。まこちゃんがいてくれるから、俺は勇者になれた」
二人はそっと額を寄せ合い、微笑んだ。
「……やっぱり私たち」
「最強のバカップルだな」
エピローグ ふたりの選んだ未来
魔王が倒れたあと、世界に平和が戻った。
城下町には光が満ち、人々は「勇者様万歳!」と祝福の声をあげていた。
けれど、峻と真は玉座の間に残り、静かに話していた。
帰るか、残るか
「しゅー……」
「ん?」
「王様に聞いたんだ。この戦いが終わったら、私たち元の世界に戻れるんだって」
「……そっか」
峻は少し黙ってから、真の手を握った。
「でも、どうする? まこちゃん。帰る? それとも、この世界に残る?」
真は少し考え、いたずらっぽく笑った。
「どっちでもいいかな」
「え?」
「だって、しゅーと一緒なら、どこの世界でも楽しめるもん」
「……っ」
峻の頬が真っ赤になる。
「まこちゃん、やっぱり反則級だわ」
「ふふ、今さらでしょ?」
二人の答え
結局、二人が選んだのは――
「まずは帰ろっか」
「うん。唐揚げとか、お風呂とか、普通の生活も恋しいしね」
笑いながら、手を繋いで光の門へと歩み出す。
帰還
次の瞬間、気づけば二人は元のマンションのリビングに立っていた。
ソファも、テーブルも、何も変わっていない。
「……戻ってきたんだ」
「うん」
ふと、テーブルの上に見覚えのない小さな宝石が転がっているのに気づく。
異世界で使った“影核”の欠片。
二人が本当に冒険した証だった。
峻はそれを手に取り、真に微笑んだ。
「なぁ、まこちゃん」
「なに?」
「また呼ばれても、二人でなら平気だな」
「……うん。むしろ、ちょっと楽しみかも」
二人は顔を見合わせ、声を揃えて笑った。
そして未来へ
その日常は何も変わらない。
でも――
二人の心の奥には、どんな世界でも共に歩んでいけるという確信が刻まれていた。
「ねぇしゅー」
「ん?」
「改めて言っとくね。私たち――」
「――最強のバカップルだな」
二人の笑い声は、夕暮れの部屋に響き、どこまでも優しく溶けていった。
あれ、意外に面白い。
無くしものを探して持ってこれるって単体ならあまり使えないかもしれないけど二人がいれば無敵とか最高か!
バカップルの異世界物って今まであったっけ?




