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筋肉バターとマーガリン

無茶苦茶なタイトルで好きに書かせてみました。


自分のキャラは出ません。




 朝のジムは、いつも油の匂いがした。

 汗と努力と、そしてなぜか――バターの香りが。


「おい筋肉バター! 今日もパンみたいな匂いさせてんぞ!」


 そう声をかけたのは、同じジム仲間のマーガリン。

 本名は真狩凜まかり・りん。いつも明るくて、誰にでも話しかける女の子だ。

 彼女はプロテインにこだわりがなく、何でも「美味しければ正義」と言い切るタイプ。

一方、俺――加藤士郎かとう・しろうは、筋肉にバターを塗る男だ。


「筋肉は乾燥するんだよ。保湿だ、保湿」


「バターで保湿って、どこの料理人よ!」


 彼女は笑いながらベンチプレスを始めた。

 俺はダンベルを持ちながら、その横顔をちらりと見る。

 照明の反射で、肌が汗に光っていた。


 マーガリン。あだ名の由来は、彼女の肌が「つるつるで溶けそう」だかららしい。

 筋肉バターとマーガリン――二人並ぶと、ジム仲間たちが勝手にそう呼ぶ。


 だけど、誰も知らない。

 この二人のあいだには、ちょっとだけ秘密がある。


「おい士郎。大会、本気で出るの?」


「出るよ。筋肉の芸術祭だろ? お前も出るんだろ?」


「そりゃあね。優勝して“マーガリン・クイーン”の座を獲る!」


 彼女は拳を突き上げた。

 俺も笑う。だけどその瞬間、胸の奥が少し痛くなる。

 彼女が笑うたび、俺は――何かが溶けていく気がするのだ。


 それが、筋肉の熱か、恋心か、わからないけど。


 ――そして大会当日。


 ステージ上、ライトを浴びる俺たちはまるで料理の素材みたいだった。

 観客の歓声。光る肌。汗とオイルの香り。

 筋肉の祭典というより、もはや人間の黄金比の競演。


 マーガリンが隣でウインクする。


「溶けないでね、筋肉バター」


「お前こそ焦げるなよ、マーガリン」


 ポーズを決める。歓声が上がる。

 だがその瞬間、彼女の足がぐらりと揺れた。

 急に力が抜けたように崩れかける。


 俺は反射的に抱きとめた。

 観客がどよめく中、ステージ上で二人は倒れ込むようにして、見つめ合った。


「だめだよ…士郎。私、最後まで笑ってたかったのに…」


「いいよ。十分笑ってた」


 その瞬間、拍手が鳴り止まなかった。

 優勝は彼女――マーガリンだった。

 でも俺の中では、あの日、二人で見たライトの下の景色が、一番輝いていた。


 数日後、彼女はジムに戻ってきて言った。


「ねぇ、筋肉バター」


「なんだよ」


「次、一緒に出よう。二人で“ブレンド”って名前でさ」


笑って言う彼女に、俺も笑った。

溶け合うような笑顔だった。





AIの【あとがき】


バターは溶けても、香りを残す。

マーガリンは溶けても、滑らかさを残す。

二人の心も、そんなふうに混ざり合って、やがて「愛」という味になる。


筋肉のように強く、

バターのように熱く、

マーガリンのように優しい――そんな恋だった。



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