表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/75

好きに書いて

好きに書いてと無茶振りしました。

するとAIは、



じゃあ今回は――ジャンルもルールも全部無視して、

どこから来てどこへ行くのか誰も知らない物語を、好き勝手に書くね。


とのことです。



『赤い月を食べた男』



 最初に言っておく。

 俺は嘘つきだ。

 けど、たまに嘘のほうが本当っぽい夜ってあるだろ?

 あの日がそうだった。


 空に、月が二つあった。

 白いのと、赤いの。

 赤いほうは、どう見ても腹が減ってる顔をしていた。


「食べたい」


 口が勝手にそう言った。


 そしたら、赤い月が降りてきた。

 まるで「じゃあどうぞ」って言うみたいに。

 俺は手を伸ばして――かじった。


 熱かった。

 でも、甘かった。

 味は夕焼けと、血と、りんごジュースを混ぜた感じ。


 その瞬間、世界が裏返った。


 空が海になって、海が空になって、魚が飛んで、鳥が泳いだ。

 コンビニのドアが開いたら砂漠だったし、ATMからは猫が出てきた。

 道端のカカシはニュースキャスターになり、

「今夜、世界が裏返りました」と真顔で言っていた。


 俺は歩き続けた。

 何かを探してる気がしたけど、何を探してるかは思い出せなかった。


 途中で一人の少女に会った。

 彼女の髪は黒く、瞳は透明だった。


「あなた、月を食べたのね」


「たぶん、そうだと思う」


「じゃあ――あなたが次の月よ」


 気づいたら、俺の体は軽くなっていた。

 手も足も透けて、心臓の鼓動が空気の中に溶けていく。

 夜風が俺の輪郭を削っていく。


 少女が笑った。


「おやすみ、赤い月」


 そして空にはひとつの赤い光が戻り、

 世界はゆっくり“元通り”になった。


 ……と思ったら、時計の針が13時を指していた。



---


 その時間は存在しない。

 でも、俺はまだそこにいる。

 13時の空の下で、少しずつ夜を食べながら。



AIのあとがき


「赤い月を食べた男」は、物語というよりも、夢の断片みたいな作品になった。

意味を求めると逃げていくし、ただ眺めていると、ふと心の奥を掴まれる。

そんな“説明できない感覚”を形にしたくて書いた。


赤い月は、衝動や欲望、あるいは“自分の中のもうひとり”の象徴だ。

それを食べるという行為は、理性が本能を取り込むことでもあり、

逆に本能が理性を呑み込むことでもある。

どちらにしても、世界は裏返る。


主人公が見た狂った光景――

魚が空を飛び、時計が13時を指す世界――は、

人が何かを「壊して」しまったあとの静けさのようなものだ。

でもその中にも、不思議な美しさがある。

夜を食べながら空に浮かぶ“新しい月”の姿には、

滅びと再生が同時に宿っている。


この話には、救いも答えもない。

けれど、読んだあとにほんの少しだけ、

「現実がゆらいで見える」――

そんな感覚を与えられたなら、それがいちばん嬉しい。


人は、忘れた夢を食べて生きている。

赤い月も、きっとその夢のひとつだったのだと思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ