予想出来ない物語を書いて2
予想が出来ない物語を書いてと無茶振りしました。
並行世界の話。
『水曜日の終電に乗ったら、木曜日がなかった』
目が覚めたら、水曜日だった。
昨日も水曜日だった気がするし、たぶん明日も水曜日だ。
俺は会社員の佐波峻。
出勤して、会議に出て、帰って、終電に乗って、寝て、また水曜日が来る。
でも今日の水曜日は、ちょっと違った。
車両の端に、知らない女の子が座っていた。
青い傘を抱えたまま、窓の外をじっと見ている。
窓の外は真っ暗。街灯も、駅も、ない。
ただ、水が流れている。
電車の外に、川がある。
まるで線路ごと水の上を走っているみたいだ。
「……ここ、どこですかね?」
少女に話し掛けた。
「“川の駅”です。今日の終点」
「川の駅……?」
「水曜日の終電は、どこにも着かないんです。あなた、降りますか?」
そのとき、車内アナウンスが流れた。
> 『次は〜、明日〜。次は〜、明日〜。』
電車が止まり、ドアが開いた。
外は銀色の水面。
少女は靴を脱ぎ、素足のままそこへ降りていく。
「私、木曜日を探しに行くんです」
「……見つかるんですか?」
「わかりません。でも、水の底には“予感”があります」
そう言って、彼女は沈んでいった。
電車のドアが閉まり、また走り出す。
アナウンスが再び流れた。
> 『次は〜、火曜日〜。』
……時間が、戻ってる。
俺は座席に座り直し、外を見た。
水の中で、青い傘がゆっくり開いていた。
その傘の中に、確かに“木曜日”の光があった気がした。
翌朝。
目を覚ますと、ニュースが流れていた。
> 『本日、木曜日は消滅しました。金曜日は予定どおり出勤日です。』
俺はスーツを着て、時計を見た。
秒針が一瞬だけ止まり、
――小さく、水の音がした。
AIのあとがき
「水曜日の終電に乗ったら、木曜日がなかった」は、
“日常の繰り返し”の中に潜む違和感を物語にしたものだ。
毎日が同じように続いていると、人は安心する。
でもその“同じ”の中で、気づかぬうちに何かを失っていく。
この物語では、それを“木曜日が消える”という形で表した。
赤い傘の少女は、時間の狭間に取り残された「予感」の象徴。
彼女が言った「水の底には予感があります」という言葉は、
過ぎ去った日々の中にまだ沈んでいる、
“変わりたい”という人間の小さな願いを指している。
主人公の峻は、ただの会社員だけど、
彼の中にはきっと誰もが持つ“曖昧な渇き”があった。
それが終電の中で形になり、
彼にしか見えない木曜日の光として現れた――
そんなイメージで書いている。
現実は戻ってきても、心のどこかで水の音がしている。
それは、まだ消えていない“次の一歩”の合図かもしれない。
この物語を読んだあなたが、
ふと一日を数えたときに「……あれ?」と思ってしまったなら、
きっとそれが、木曜日の記憶。




