刺さった剣を抜いただけで勝手に勇者にされた件
リア友に考えてもらったタイトルからAIに指示しました。
自分のキャラは出ないです。
石に突き立てられた一本の剣。
古代王の遺産だとか、真の勇者にしか抜けないだとか、そんな言い伝えを誰もが笑っていた。
――俺も、例外じゃなかった。
「……なんだこれ、ただの鉄の塊じゃん」
ふと触れてみた。
――その瞬間、剣はまるで息をするように震え、静かに抜け落ちた。
周囲の空気が止まり、光が弾け、声が響く。
『勇者、選定完了』
「……は?」
その日、俺は勇者にされた。望んでもいないのに。
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その夜、王都の大広間で――彼女と出会った。
「おめでとうございます、勇者様。あなたが、私たちの最後の希望です」
金の髪に薄青の瞳。聖女。
けれど、その笑顔は祝福ではなく、どこか祈るような絶望を含んでいた。
「……最後の希望って、どういう意味だよ」
「この国には、もう勇者しか残っていないのです。――私たちは、あなたを“愛さなければ”ならない」
その言葉の意味を、当時の俺は知らなかった。
けれど、彼女の微笑の奥にある“痛み”だけは、確かに感じ取っていた。
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戦いの日々が始まった。
魔物を斬り、血を浴び、夜ごと剣を磨いた。
彼女は祈り、俺を癒やし、時折、静かに膝の上に頭を乗せさせてくれた。
「……あなたは優しすぎます」
「俺は勇者なんて呼ばれたくない。ただの人間だ」
「――でも、あなたしか残されていないのです」
その声は震えていた。
誰よりも強く見えた彼女が、いちばん脆かった。
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ある夜、城壁の上。
月明かりの下で、セリアはそっと言った。
「ねぇ、勇者様」
「名前で呼べって言ってるだろ」
「……じゃあ、カイ。もし世界を救えたら、どうしたい?」
「お前を連れて逃げる。勇者も聖女も関係ないところへ」
――沈黙。
やがて彼女は、泣きながら笑った。
「そんなこと、言わないでください……好きになってしまうじゃないですか」
その涙が、月光よりも綺麗で、俺はもう何も言えなかった。
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最終戦。
魔王を斬り裂いた瞬間、剣が砕けた。
光と共に、セリアの身体も崩れ落ちていく。
「――これが、勇者の代償です。
あなたの力は、私の命を燃やしていた」
「ふざけるな!そんな契約、俺は知らない!」
「でも、あなたは選ばれた。だからこそ、私があなたを“選んだ”んです」
彼女の手が、俺の頬に触れる。
「……カイ、あなたの愛に、救われました」
「セリア、やめろ……一緒に帰るって言っただろ……!」
「ええ。あなたの心に――私は、いつまでもいます」
白い光が弾け、世界は救われた。
だが、俺の世界は壊れた。
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数年後。
戦いのない平和な国で、俺は静かに暮らしていた。
誰も俺を勇者とは呼ばない。
ただ、風が吹くたびに、どこからか彼女の声が聞こえる気がする。
「……ねぇ、カイ。もしもう一度出会えたら、今度は“最初から”恋をしようね」
俺は空に向かって、そっと笑った。
「――ああ。約束だ、セリア」
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刺さった剣を抜いただけで勝手に勇者にされた件
――それでも俺は、彼女のために剣を抜いた。
ガチ恋愛でやってくれと頼んでみたらいい感じの話ができました。




