三角関係のドタバタ青春コメディ
主人公に迫る女の子が実はヒロインが好きだったらどうなると聞いて書いてもらいました。
ヘルズゲートの並行世界の話とします。
「しゅー、お弁当一緒に食べよ!」
「まこちゃん、今日のお弁当も美味しそうだね」
佐波峻と皆川真は、クラスメイトから「またあの二人か」と呆れられるほどの仲良しカップル。
休み時間になれば必ず一緒にいて、お互いを愛称で呼び合う高校2年生だった。
「ねえしゅー、今度の文化祭、なんの出し物にする?」
「まこちゃんが決めてくれれば、俺はなんでもいいよ」
「もう、そういうところがダメなの! 自分の意見も言ってよ」
そんな二人の前に現れたのが、転校生の美少女・桜井あやだった。
「皆川さんって、佐波くんとお付き合いしてるんですよね?」
唐突に桜井あやは真っ直ぐに真を見つめて言った。
「え、ええ。そうですけど...」
「正直に言わせてもらうと、貴女は彼に釣り合ってないと思います」
突然の言葉に真は目を丸くした。
「佐波くんはもっと素敵な人と一緒になるべきです。私みたいな」
そう言うとあやは微笑んで、峻の方へと歩いていった。
あやの峻への猛烈なアプローチが始まった。
「佐波くん、一緒に帰りませんか?」
「佐波くん、今度の休日、映画を見に行きませんか?」
「佐波くん、私と話してる時が一番楽しそうですね」
峻は困惑していたが、真はもっと困惑していた。
「しゅー、最近桜井さんとよく一緒にいるよね...」
「え? そ、そんなことないよ、まこちゃん!」
しかし真の不安は募るばかりだった。
ある日の放課後、峻は桜井あやに呼び出された。
「佐波くん、私の気持ち、分かりますよね?」
あやは峻に近づいていく。
「ちょ、ちょっと桜井さん...」
「私、本気なんです」
その時、教室のドアが勢いよく開いた。
「しゅー! 忘れ物を...」
真が立ち尽くしていた。
目の前では、あやが峻に迫っている光景が。
「し、信じられない...」
真の目に涙が浮かんだ。
「まこちゃん、違うんだ! これは誤解で...」
「誤解って何が!? 見たままじゃない!」
「皆川さん、落ち着いて。これは...」
あやも慌てて説明しようとしたが、真は教室を飛び出してしまった。
翌日、あやは真を屋上に呼び出した。
「皆川さん、昨日は本当にごめんなさい」
「今更何を...」
「実は、私が好きなのは佐波くんじゃないんです」
真は驚いて顔を上げた。
「私が好きなのは...皆川さん、貴女なんです」
「え?」
「でも貴女には佐波くんがいる。だから、もし佐波くんが酷い人だったら、貴女は彼から離れてくれるかもしれないって...そんな風に考えてしまったんです」
あやの目にも涙が浮かんでいた。
「桜井さん...」
真は複雑な気持ちだった。
「私の気持ちに応えてくれなくてもいいんです。でも、佐波くんを疑ったりしないでください。彼は貴女のことを本当に大切に思ってます」
「私...しゅーのこと、疑っちゃった」
「きっと彼も心配してますよ」
峻は校門で真を待っていた。
「まこちゃん!」
「しゅー...ごめんなさい」
「俺の方こそごめん。ちゃんと説明できなくて」
「桜井さんから聞いたの。全部」
二人は抱き合った。
それから数日後、三人は一緒にお弁当を食べていた。
「桜井さんも一緒だと楽しいね」
「そうですね。でも皆川さん、やっぱり羨ましいです」
「え?」
「こんなに素直に想いを伝え合える相手がいるなんて」
あやは少し寂しそうに微笑んだ。
文化祭の日、三人はクラスの出し物の準備に追われていた。
「あや、この装飾どう?」
真があやを下の名前で呼ぶようになっていた。
「素敵です、真さん」
「もう、真でいいって言ったでしょ?」
峻はその光景を微笑ましく見ていた。
「良かった。三人とも笑顔で」
結局、あやの恋は実らなかったけれど、三人の間には新しい友情が生まれていた。そして時々、あやは真を見つめて小さくため息をつくのだった。
「まだまだ青春は続きそうだね」
峻が呟くと、真とあやは顔を見合わせて笑った。
三人の高校生活は、まだまだ波乱に満ちていそうだった。
三人仲良しになったんだ、無料版でもちゃんとした話を考えてくれるんだな。




