第四話「試練」
これから王女様の護衛になるための試験を受けに行くところだ。
今いるのは俺・ラガ・2人の護衛・クララ、計5人だ。
ロアは仕事だと言って来なかった。
クララとは、王女様の名前だ。
本当は俺とラガと2人の護衛で行くはずだったのだが、クララが、「私もこの方の魔術を見てみたいです」と真面目な顔でラガと俺に言ってきた。
なのでクララもついてくることになった。
ー
ここはラーガ城の近くの草原だ。
ここには、次のようなものがいる。
草、花、木、羊に似ている動物など、まるで楽園のような場所だ。
ここで試験を受けるのだろうか?
俺はそう考えた。
「ルア!」
突然ラガに名前を呼ばれた。
「は、はい!」
「今からお前に一つ魔術を発動してもらう。好きなのを使うといい」
「はい分かりました!」
と、言ってしまったが、なんの魔術を使おう?
治癒魔術はダメだ。
治癒魔術を使ったところで何もすごくない。
だって誰も怪我してないし初級なんて頑張れば誰だってできる。
じゃあ雷魔術か?
いや、あれはとても危険だ。
半年前、雷魔術上級を習得するために、家から馬で1日のところの山の崖で、詠唱して発動してみたところ......
崖が崩壊してしまった。
つまりものすごく威力が高いということだ。
しかも俺はまだ正確に制御できない。
万が一王女様に当ててしまったどうする?
王女様の護衛になるどころか牢獄にポイっ、からの首チョンパだ。
光魔術はどうだ。
いや、光魔術は辺りを光らせることしかできない。
そしたら水魔術か。
確かに水魔術はとてもいい。
あまり威力がないものを選ぼう。
ならブリザードストームを使おう。
広範囲で、かつ制御もできるので遠くに打てばいい。
「じゃあ行きますね」
俺がそういうと、ラガと王女様は頷く。
2人とも興味津々にこっちを見ている
そういえばラガの家来に魔術を使えるのは数人と言っていたな。
そんなに魔術を使えるということは特別なのだろうか?
普通に使っていたが、もしかしたら普通の人は魔術を使えないのかもしれない。
ほら、よく言うじゃん。
魔力がないみたいな。
俺は転生した特殊体質だから使えるのかな?
まあそんなことは置いておこう。
目を閉じる。
深呼吸をする。
大きくゆっくりと。
「水の精霊よ我が前に強大な雪の嵐を!、ブリザードストーム!」
詠唱をし終えると、空が曇った。
空から大量の氷の矢が飛でんきた後、その矢をかき消すかのように雪の嵐が出現した。
すごい迫力だ。
矢は雪というより氷だ。
ブリザードストームは、空から氷の矢が降り注いだ後、強大な雪の嵐を起こすという魔術だ。
その嵐の領域に入ると目の前が吹雪により見えなくなる。そしてその中に5秒以上領域の中にいると窒息死してしまう。
危険だが制御すれば自分たちには100%無害な魔術だ。
完璧だ!
「どうでしょうか?」
そう言って振り返ると全員唖然としていた、クララ以外。
クララは目をキラキラさせていた。
そのあとクララはラガに話しかけていた。
「父様!あの方を護衛にしたいです!」
クララは興奮気味に喋りかけていた
ラガは考え込んでいた。
なんで考え込んだのかは、分からない。
多分こんなに強かったら、将来、反乱を起こすのかも......とでも思ってんのかな?
誰がこんな可愛い女の子に反乱を起こすか!
と1人で、ツッコミを入れた。
しかし......
一日で2回目だ、考え込むのは。
王様って大変なんだな。
俺はそう思った。
やがてラガは頷いた。
今回はすぐに考えがまとまったのか、考え込んでいたのはほんの数秒だった。
「よし分かった。......ルア!、お前をクララの護衛に任命する!」
そう言われると、急に俺の胸と目が熱くなる。
俺は、今にも泣きそうになった。
前世で誰からも褒められなかった俺が......
「ありがとうございます」
体を限界まで曲げてお辞儀した。
そしてクララに言った。
「これからよろしくお願いします。クララ様」
そういうとクララは「こちらこそよろしくお願いします、ルアさん」
そう笑顔で返してくれた。
また1人で、ツッコミを入れた。
笑顔が可愛すぎるだろ!
まるで天子のようだ。
あぁ、こんなかわいい女の子の護衛になれるとか最高だな。
こうして俺は、初めての仕事をすることになった。
どうでしたか?
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