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霊媒の血紅  作者: しばふ
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第一章 黒霊

「こんな子供に霊媒師を…?つっても俺同い年くらいだわ。」

「ええ。彼ならきっと不可能が可能となります。」

「ふ〜ん?この子、結構特殊な力持ってるねぇ。霊が見える以外に。」

「はい。少なくとも、入峠にかなう能力です。」

「……なるほどなぁ。すごいやこの子。唯一無二の子だよ。こんな能力見たことがない。他にもすごい能力が開花するかもしれないな。ちょっと話しかけよう。」


最悪。今日は定期テストが返って来る日だが、ほんとうに楽しみじゃない。平均なんか越してるわけがない。教室の左隅を見ながら、自分の出席番号が呼ばれるまで机で待機する。

「14番、加蔵。お前、勉強しなかったろ。」

先生が言う。点数絶対ゴミカスだわ。

え、24点…?見たことねぇ点取ったんですが、俺。

「童子〜…俺どうしよう。テストまた平均点以下だわ」「ありゃまぁ残念。」「お前は何点なんだよ」「俺?66点」「なんだお前よぉ…」「いや知らねぇよお前が聞いてきたんだろ」

なんて、テストの見せ合いをしたところで点数は変わらないというのにアホどもは何点かをしつこく聞いてくる。24点なんかいったら馬鹿にされるに決まってる。まあいいや。これが現実なんだ。仕方のないことだ。


「さよーならー」

終礼を適当に済ませ、リュックを左腕から通して背負った。別に俺は部活には入ってないからこのまま帰宅する。しかしまいったな。あんなテスト親に見せれるわけがない…。「かーぐらっ」後ろから童子が俺の左肩を叩いてきた。童子は俺の唯一の親友で、俺のテストの点を聞いても煽ることはいままで一度もなかった。だから仲良くしてるし、普通に一緒にいてて楽しい。「なに浮かない顔してんだよ、テストのことで落ち込んでんのか?」

「それしかねぇだろうよ。ぜってぇ親に呪われる」

「そっかお前母ちゃん霊媒師だもんなwウケる。」

何がウケるんだか。こちとら真面目に怒られるかもしれねぇってのに。


帰りたくない場所に帰ってきた。親にはテストはまだ返ってきてないと軽く嘘をつき自分の部屋へ行く。俺の部屋で飼っている金魚に餌をやって、別に真面目くんってわけでもないのにテストの見直しをした。「うわぁ…なんでこんなところミスるかな…。」若干自分に失望しつつも、ミスを直す。ケアレスミスを消していくと、50点近くあることに気づいて尚更辛い。まあ仕方ない。入試なんかまだまださきのことなんだ。と自分を慰めたフリをして部屋の左端で寝転ぶ。今日は別に何もしていないのに疲れた。肩が重い。全身がだるい感じがした。

翌日

クソみたいな夢を見た。童子が死ぬ夢。まあ夢だからな。所詮夢。ただの夢…。

とか思いたかった。

「童子…それ……」

「え?なn」

ぐぢゃぁぁ……

聴いたことのないグロい音と共に身体が弾け飛んだ童子が隣にいた。いや、いないけどいた。童子の頭の上に黒い靄のようなものが見え、それを指差した瞬間、童子が弾け飛んだのだ。

「は…?おい、童子…?」

泣くどころか、身体が全く動かなくて、むしろ何もできなかった。夢と全く同じ出来事が起きている…。現実で。

ある程度正気に戻ったところで、あることに気がついた。俺の左腕が消滅しているということに。あの赤髪の海賊みたいになってるのは気にしてはないが、不思議なのは痛みをあまり感じないということだ。多少は痛みは走るが、転んで擦りむいた程度の痛さ。まさか俺まで…天国に…?

「ねぇ?君、あの時見えてたよね。黒いの」

突然誰かに話しかけられる。俺と同じくらいの年齢に見えるが、彼はなぜか人生になれている気がした。

「あんた誰ですか、」

若干恐怖を覚えながら聞く。

「僕は三鈴。三鈴みすず はじめっていうんだ。よろしくな。」

「俺は加蔵かぐら 想太そうたです。でも、なぜわかったのですか。確かに黒い靄は見えましたよ。」

「あはは、やはりそうか。君には「才能」があるよ。」

「何のことですか…?」

「左腕、見てごらん?」

「え…!?ある…???!」左腕が、あった。さっきまでは確かに無かったのに、なぜ…?

「君さ、特殊能力持ってるでしょ。」

「へ…?なんすかそれ…?」

「なるほど、自覚無しか。まあいいや。これからコントロールできるようになるさ。」

「あの、一体何を言ってるんですか…?」

「君には治癒の能力があるんだよ。そしてさらに霊が見える。つまり君は霊媒師になれるということだよ。」

霊媒師………

俺の両親は霊媒師だ。でも二人とも、なりたくてなったんじゃない。脅されたのだ。二人とも霊は見えていたが、それを隠し通していた。しかし霊媒するにあたる能力値が他の人より多かったため、なれと脅された。そしてなりたくもない職業で、父は命を落としたのだ。そんなトラウマになるようなこと、するわけがないとも思ったが…。

「目の前で友達が爆散したんです。あれは幽霊の仕業ですか?」

「うん。そうだね。間違いないよ。」

「なります。霊媒師。」

こうして俺は童子新どうじあらたのかたきを討つために、霊媒師になった。

「んでさぁ、きみの友達の上にいた黒いきり、あるでしょ?」

「はい、」

「あれ、入峠いりとうげって名前の霊なんだけどさぁ、霊媒師界隈では最強の霊なんだよね。」「は…?え、そうなんですか?」

「そそ。だからどんだけ強いやつが来たとしても、助けらんないのよ。なんせあいつ、俺等の霊媒術が効かねぇから。全部。」

「え、じゃあ一生成仏できないじゃないですか。」

「そうだよ。でもね、君が出てきてくれたおかげであいつ祓えそうなんだわ。」

「え…?マジっすか。」

「マジマジ。だから申し訳ないけど、協力してもらうよん。」

俺の力でしか祓えないのなら、より一層やる気が出る。いち早く祓ってやりたい。入峠とやらを。

「さぁ、ついたよ。ここが、日本に一つしかない、霊媒師育成学校。さ、入って入って。」

「…失礼しま〜す…」

随分と大きな学校だ。俺は元々いた中学をあの事件後途中離脱して、ここの学校に転校した。陰キャの俺に、友達ができるだろうか。

「んじゃあ、加蔵くん、ここ座って。もうすぐある人が来るからね。んじゃ、後でね〜。」

「あ、はい。え、その人と2人きりってことですか?」

「まーそういうこと。とりあえず、静かにここで待っててね。結構すぐ終わると思うから。」

そう言って三鈴はどこかへ行ってしまった。一人でこの真っ暗な空間で待っておくのは少し怖い。なぜ、こんな暗い空間なんだろうか…。」

『よく来た。加蔵想太よ。』

どこからともなく声がした。でも空間が暗すぎて、どこにいるのかが全くわからない。

「うわっ、」

急に明るくなった。しかし照明がついたというわけでは無さそうだ。なんだ、この感じは。

「どうも。無神無人と言うものだ。霊であり、人間だ。」

「霊であり人間…?どういうコトですか…?」

「話せば長い。本題に入ろう。加蔵。ここでは、君の霊耐性を計らせていただく。」

「霊耐性…?」

「読んで字のごとし。霊に対する耐性があるかどうかを計る。」

「えっと、、」

「「風 展開」」

急に突風が襲ってきた。しかしこれはただの突風じゃない。斬撃が若干だが含まれている。身体に斬撃のあとが大量にできてしまった。

「いってぇ……」

ズズズッ

治癒が発動した。俺は別に何も唱えていない

が、治癒してほしい時に治癒が発動する。結構万能だ。これ。

「素晴らしい治癒能力だ。それに霊耐性も通常の人間の倍はある。おめでとう。入学だ。」

「あ、ありがとうございます、、」

結局、何かがよくわからないまま入学してしまった。まあいい。ここで勉強して、童子のかたきを討つ。そう決めたんだ。


「どうも〜!!川原と申しま〜す!」

確実にハズレのティーチャーだ…。

テンションが終わってやがる……。

「今から君にはね、1年4組に入って、自己紹介をしてもらいま〜す!!事前にみんなには言ってるから、みんなからの自己紹介もあるよん☆んじゃ、そゆことでよろぴくね〜!」

先生のテンションがおかしいのはまあ…いいだろう。学校生活が楽しければ良いのだから。

教室のドアを開け、教室に入り、自己紹介をする。

「ど、どうも。加蔵想太と申します。よろしくお願いします…。」

自己紹介は軽く済ませた。こんなもんでいいだろう。

「こんにちは。浅野あさの 九九くくといいます。能力は火を扱うことができます。よろしくお願いします。」

火を扱えるのかっこいいな、

「どうも。黒龍こくたつ 冬至とうじです。龍と会話したり、召喚したりできます。お願いします。」

龍…?この世界にそんなのいるんだ、初耳。

「こ、こんにちは、、。赤城玲あかぎれ まいです…。ええと、能力は、、、えと、か、簡単に言えばテレパシーです。お、お願いします…。」

テレパシーかぁ、意思疎通爆速そうでいいなぁ

上上かみうえ 曽之美そのみ。能力はないけど、なんか殺人鬼の霊宿してるからそいつの能力はつかえま〜す。」

いや怖っ。なにそれ

雨正あまただ ひかる。能力はコピー。」

めちゃくちゃあっさりだな、

「やっほ。三鈴みすず はじめです。さっきぶりだね。実は僕はこの学校の委員長やってるんだよね。で、能力いってなかったね。神との交信で〜す。よろしくね〜」

三鈴もこのクラスか。運がいいな。っていうかシンプルにすごいな能力。あと委員長って。まじかよ。


なるほどな。クラスはあまり外れてなさそうだ。多分そこまで民度は低くないだろう。ただ…先生が……

「いぇぇい!!川原かわはら しゅんといいますぅ!川原先生ってよんでね!

能力は霊化で〜す!霊になることができま〜す!」

え、強くね?

「ってなわけで、みんな自己紹介お疲れ様!

でさぁ、加蔵くん、君の能力はなに??」

うわぁ、聞かれた。別に答えれるけど…。

「治癒です」

「え…?」

まあ…そんな反応になるのは間違いじゃない。ってか事前に聞いていなかったのか?三鈴から聞いた話だと、治癒って今までいたことがなかったらしくて、数千年にわたって色んな霊媒師が探し求めてた能力だったらしい。だから、歴史的快挙が俺によって起こっているのだ。

こないだまで普通の中学生活を送っていたというのに、なんかこれ凄いことになってるかもしれない。俺、強いのかもしれない。

「んでねぇ〜、加蔵くん。さっそく霊の討伐依頼が来てるんだわ〜君には。」

「は、え、祓ったことないんですけど」

「まあまあ大丈夫だって。依頼って言っときながら、鬼のように簡単なやつだから。さ、行くよ〜!」

先生についていく。

「たまにねぇ、入峠みたいな感じで、普通の術じゃあ祓えない霊が出てくるわけよ。そいつらは、特殊な道具を使って祓うことができるんだけど、君の能力でも祓えるのかっていうのを検証しようと思ってさ」

「な、なるほど…。その、治癒で祓うって、どういうことですか…?」

「君の治癒はね、まあ霊にも有効らしいんだわ。んでね、特殊な霊たちは、簡単に言えばはじめからHPがマイナス表示ってわけよ。全部幽霊は、HPが0になったら祓えると考えると、マイナスのやつにマイナスの数値を与えても、逆にHP増えるだけなのよ。でも、君の治癒はHPを増やすから、マイナスから0にすることができるってわけ。だから、君にしかできないことなんだよ。」

「そうなんだ……。」

「そう。だからさ、今回は君にその能力の使い方を少し極めてほしいんだ。ええっと、まず君はその能力をコントロールできる?」

「いえ、できません。」

「どういう時に発動するかわかる?」

「自分が傷を負った時、ですかね。」

「どのくらいの傷なら治せる?」

「限界は分からないですが、片腕削ぎ落とされても完全に再生させることができます。」

「なるほど〜……。コントロールできたら完璧なんだけどなぁ。」

「でも、どうやってコントロールすれば良いんですか?これ、急に出てきた能力なんですけど…。」

「んじゃあ、これから訓練しよう。正直、今回の依頼は道具使えば何とかなるレベルのやつだから、祓い終わったら訓練しようね。」

「わ、、かりました。」

霊ってそんな細かい部類に分けることができたのか…。面白いな。


10分後


学校にもどり、実際に祓い方を教えてくれるそうだ。

「は〜い!それじゃあ今から、新メンバー加蔵くんも入れて実技訓練をしましょう。それぞれ持っている能力を最大限に。そして基礎の術を磨いていきましょう!!加蔵くん、あとで来てね〜。」

「なに、お前なんかやらかしたの?」

「ちがいますよ。ただ呼ばれただけですって。」

「あのさぁ、俺等同級生なんだから敬語やめようぜ?めちゃくちゃ喋りずれぇ。」

「わかった。そうする。」

そう言って先生のもとに行った。先生から聞いたことは主に3つ。一つは基礎の術。二つは『白乱』という術。そして三つは治癒能力のことだ。基礎の術は、全員がはじめに習う基礎の呪法。藁人形使ったりとか、そういうやつ。あれって霊にも効くんだな。んで、白乱ってのは、まあちょっとよくわかんないけど習得はあまり難しくない割には結構使えるらしい。んで治癒は、治癒という能力から枝分かれさせて、いろんな技を作り出そうということ。他の人も自分の能力をいろいろな技に派生させている。

俺は3個目のやつからすることにした。治癒を派生させるのは楽しそうだ。それに、自分も技名を叫んで技を放ちたい。

「技やら何やら。本当に彼にできるのでしょうか?」

「もちろんですとも。彼にしかできないことですわ。」

「でも…もし…もし万が一があれば、」

「でもやってみるしかありません。彼にこれを授けます。」

「……あなたを信じますからね。」


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