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恐るべき捨身の無道戦術が神聖を討つ。
十京シオン。
神聖国により封鎖された、東京最終戦域。
蒼生軍と神聖国軍は、互いに動かず対峙していた。
兵力差は、圧倒的。
十京バベルを囲む、四つの支配地。
結界、鉄壁、防衛網。
最強国家・神聖国リュシオン。
[秩序の描写:盾列・砲台・詠唱]
秩序の完成形。
すべてが揃い、すべてが正しい。
――だからこそ。
[草薙・一人前へ]
草薙悠弥は、ただ一人、前へ出る。
「……秩序か」
強風ではない。
嵐でもない。
弱く、一定で、止まらない風。
歩兵の踏み込み。
砲の微調整。
詠唱の節。
すべてが――同じ周期で揺れ始める。
それは、かつて“薔薇の橋”が落ちた理屈。
壊したのではない。
噛み合っただけだ。
[地面が鳴る/砲台が傾く]
「……何だ?」
秩序が、足元から狂う。
草薙は、待っていた。
秩序と地盤と踏み込み――
三つが重なる、その瞬間を。
「国敵討滅」
「――神風無道」
揺れではない。
沈下でもない。
足場という概念が、消える。
盾列が並んだまま沈み、
砲台が列ごと滑り落ちる。
秩序が、質量に変わる。
[草薙・一騎駆け]
瓦解した戦場を、ただ一つの影が駆ける。
――草薙だ。
この作戦で、
最も危険な位置にいるのは、
彼自身。
鬼謀、特攻、そして無道。
恐るべき捨身の無道戦術が神聖を討つ。




