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トモゼロ

作者: 石原健司

僕に、友達はいない。


必要だと、感じたこともない。


それを言うと、いつも可愛そうな人を見る目で見られる。


なぜだ。


友達が何の役に立つ?


どんなメリットがある?


寂しくなくなる?


本当だろうか?


他人といることで、むしろより孤独を感じることはないだろうか。


最終的には、どうやっても100%他人と自分が理解することなど有り得ないだろう。


他人との差異を感じることで、より孤独感は増すのではないだろうか?


世界に自分は一人きりしかいない。


交友関係なんてあったって、この当然の事実を思い知らされるだけだ。


困ったときに助けてくれる?


本当だろうか?


今、あなたの友達を思い浮かべてみて欲しい。


その中に、あなたが生活に困ってお金が必要になったとき、誰がお金を出してくれそうか?


確信を持って、名前を挙げられる友達がいただろうか。


友情はお金で簡単に破壊される。


世の中にはそんな実例が山ほどある。


金の切れ目が縁の切れ目、という俚諺があるほどだ。


勘違いしないで欲しいが、僕は別に友達に価値がないと主張したいわけではない。


ただ過大評価されすぎなのでは、という疑義を呈したいだけだ。


友達がなくても生きていける。


僕がそうだ。


友達の目を気にする必要もない。友達のために何かをする必要もない。友達の嗜好に合わせる必要もない。友達が別の誰かと仲良くしているのを見て、やきもきする必要もない。友情を確認し合う儀式も必要ない。どこかで友達が自分の悪口をいっていないかと不安になる必要もない。


好きなときに、好きな場所で、好きなことができる。


これが一人でいることの自由さだ。


なにより孤独でなければ、ものをじっくりと考える時間さえ持てない。


人は生まれてくるときも一人なら、死ぬときだって一人だ。


群れをなさなけれ生き残れなかった大昔ならともかく、現代においては群れる必要はない。


それだけ社会が豊かになったからだ。


その豊かさをなぜ享受しようとしない?


もしあなたが孤独なら、それでいいんだ、と僕は肯定する。


孤独なあなたは寂しさを知っている。


寂しさを知っている人間は他人に優しくできる。


どうしても友達に囲まれて生きたい、という人もそれでいいだろう。


それもまた自由なのだから。


僕は雑踏の中を歩くのが好きだ。


大量の人の波にもまれながら、ここの人々の誰ともつながりがない自分を自覚するのが好きだ。


孤独をとても感じられる。萩原朔太郎もそうだったと聞く。彼もまた孤独の味を知っていたのだろう。


不思議なことに孤独にひたっていると、他人という存在が愛おしく感じられる。


遠くで優しく愛でていたいような儚げな存在に思える。


人間が愛おしくなる。


たぶんこれは近寄らないために、瑕疵が見えなくなるからだろうか。


友達はいらない。


けど、人間は好きだ。


これは矛盾だろうか?

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