表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/67

7話 グリフォンの化身?

もうこうなったら勢いしかない! 

俺は絶対に死にたくない。レクスオール戦記をなぞるべく必死に頭を働かせる。

ラティスは、三千の敵兵を前に一人で立ち回ったとあるが、そんなの俺には絶対無理。

だけどハンニバルが前衛を抜いて側面につくには前方に注意を引きつけてその時間を稼ぐ事は必定。

ハンニバルに預けた六十騎を除くと、こちらは僅か六十騎ほどしか残っていない。

正面からぶつかっても飛沫の如く一瞬で消し去られるだろう。

どうすれば……


「ギルバート、時間を稼ぎたい。ハンニバルが周り込む時間を稼ぎたいんだ」

「それでは残り全軍で当たりますか」


くっ……この脳筋は正面衝突しかないのか。


「いや、それだと被害が……」

「わかりました。若がそこまで腹を括っていただけているのであれば我らも腹を括りましょう」

「え!?」


どういう意味だ?


「若ひとりで行かせるような真似は致しません。このギルバートとユンカー達四名が必ず若をお守りいたしますゆえ安心して時間を稼いでください。さあ参りましょう!」

「あ、え、えぇぇぇぇ〜」


俺はギルバート達に囲まれたまま誘導され、レクスオール軍の先頭へと押し出されてしまった。


「おおっ、我らが太陽、ラティス様が!」

「ラティス様万歳!」

「グリフォンの化身たるラティス様が出られるぞ!」

「ラティス様〜!」

「おおおおおおおおおおおお〜!!!!」


俺が前に出たのを見てレクスオールの兵が怒号をあげて俺を後押ししてくれる。

やばい。敵軍が近づいてくる。同じ高さに立つとその数に圧倒される。

全身から冷や汗が流れ、震えが止まらない。

逃げたい。今すぐこの場から逃げたい。

だけどギルバート達にがっちり囲まれていて、俺の技量では絶対に逃げられない。

しかも、俺の後方ではレクスオールの兵たちが俺の事を見ている。

やはり逃げる事はできそうにない。

恐怖で意識が飛びそうになるが、必死にレクスオール戦記の中に記されていたラティスの言葉を思いだす。

ああ、これ以上距離が詰まれば、リクエ軍に飲まれる。


「ギ、ギルバート、ここだ。ここまでだ」

「はっ!」


やるんだ。俺。やるしかない。俺はラティスだ! 今だけラティスだ。ラティスになるんだ!


「愚かなるリクエの軍よ! 我はラティス! ラティス・レクスオールだ! 我こそは空を支配するグリフォンの化身! 我こそはこの地を守護する聖なる獣! 我に食われたいものは今すぐ名乗りをあげよ! ひと噛みにて喉笛を掻っ切ってやろう!! リクエの軍は腰抜けか? 腰抜けの集まりなのか? そうであるなら今すぐ剣を置いて己が地に帰れ! そうでないのなら名乗り出よ! ここに雌雄を決しようではないか!」


ふ〜っ、ちゃんと言えた。ダリル台地の決戦でラティスが口にしたと伝えられる長口上。ここまで完全に憶えている自分を褒めたいぐらいだが、これからどうすればいいんだ?


「おおおおおおおお〜!!!」

「リクエ軍は腰抜けだアアアアアアア!」

「ラティス様万歳!!」

「うぉおおおおおおおお〜」


俺の長口上に後方のレクスオール軍のボルテージは最高潮となるが、レクスオール戦記に記されていたのはここまでだ。

この後ラティスが一人で敵全軍を引きつけ、ハンニバルが敵の大将首を上げる。

それしか載っていなかったはずだ。

なので、俺にはこの後の展開が読めないし、どうしていいかも全く思いつかない。

顔面蒼白になりながらその場で留まっているとリクエ軍が割れ、一騎の敵がこちらに向かってきたのが見える。

なんだ? なんで一騎でこっちに向かって来てるんだ?

【読者の皆様へお願い】


いつもありがとうございます。

皆様のブックマークと☆ポイント評価で作者のモチベーションが保たれています。

興味を持たれた方は是非ブックマークとスクロールして下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にお願いします


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ