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お姉さん?

「ユンカー、あの一団がなんだったのかは聞いてる?」

「はい、このユンカーが独自に情報をとったところ、シーラン公爵家の手のものではないかと」

「シーラン公爵家って」

「はい、国王陛下の従兄弟にあたるジャニス公です」

「それって、国内でクーデターを起こそうって事?」

「はい、巷ではその様な噂が」


ただの噂なのかもしれないけど、これってやばいだろ。

シーラン公が国王陛下に取って代わろうと企んだって事か。

よく俺助かったな。ある意味運がよかったのか? いや死にかけて運がよかったはないな。

いずれにしてもこの国の情報統制がとれていないことだけはわかる。

準男爵に陞爵される為だけに来たこの王都で、大変な事件に巻き込まれてしまったが、シーラン公からすれば俺が邪魔したかの様に誤解されている可能性もあるので、寛ぐつもりが全く安まる気がしなくなってしまった。

安まらない時を過ごし、夜に久々に侯爵家の食卓を囲む事になった。

気を使ってくれて部屋で一人ででもと勧められたが、気が紛れるのを期待して皆さんとご一緒させてもらう事にした。


「ラティス君、いやこれからはラティスと呼んだ方がいいのかな」

「それはお好きな様に呼んでいただければ」

「そうか。それじゃあラティスと呼ばせてもらうよ」

「それはそうとラティスもその喋り方はないんじゃないかな。もっと砕けた感じで話してほしいな」

「そうでしょうか」

「ああ、当たり前のことだからね」

「そうよ。ラティスちゃん、これからはみんな家族なんだから」

「はい、そう言ってもらえるなら」


侯爵家の人達はなんていい人達なんだろう。

貴族になったとはいえ準男爵に過ぎない俺を家族の様に思ってくださるとは。


「ラティスが弟なのね。私ずっと男の兄弟が欲しかったからラティスなら大歓迎よ」

「ミラルダ様」

「やめてよ。ラティス、もう家族なんだから私の事はお姉さんと呼んで?」

「はい、お姉さん」


俺も今まで兄妹もいなかったのでこんな綺麗な人をお姉さんと呼べる日が来るとは夢にも思わなかった。


「それにしてもラティスが受けてくれて本当によかったよ。なあアリューレ」

「はい」

「断られてたら、恩の返しようもないしどうしようかと思ったよ」


うん? なんの話だろう。


「もう王宮にも使いを出しておいたから今頃国王陛下の耳にも入っていると思うよ」

「これで、国の誰もが知る仲なのですから、ラティスの身体が良くなれば盛大にお祝いしないといけないわね」

「お母様……」

「アリューレが先とは思わなかったわ。私もいい人がいればいいのだけれど」

「お姉様……」


いったいなんの話だ? 王宮に使い? お祝い? いい人? どう考えても俺一人が取り残されている。

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