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ここは地獄?


「ガハッ」


再び俺の背中を激痛が襲う。

どうやら俺は二本目の攻撃をくらってしまったようだ。

痛みで、朦朧としてきた。

なんで俺は陛下を護ろうとしたんだろう。アリューレとさっさと逃げればよかったかな。

もうダメだ。脚に力が入らない。

立っている事が出来ずにその場へと膝を突きそのまま床に倒れる。

ああ、床が冷たくて気持ちいいな。

どこかで剣がぶつかりあう音がする。

俺、このまま死ぬのかな。

アリューレ大丈夫かな。

そんな事が頭に浮かんでそして俺の意識はそこで途絶えた。

痛い……

身体が痛い……

背中が焼けるように痛い……

俺は死んだのか。死んでも身体の痛みは感じるんだ。


「う、ううっ」


死んだら天使や天女のいる天国に行けるといいなと思っていたけど、ここにはなにもない。あるのは痛みだけ。

ああ、そうか、ここは地獄か。それはそうか。俺の指示でいっぱい人が死んでるもんな。

痛いけど、眠い。眠いなぁ。

誰かが呼んでいる気もするけど、誰だかよくわからない。

また俺の意識が深い所へ沈んでいく。

長い長い暗闇の中、徐々に意識が戻ってくる。

やっぱり痛い。

今度は痛みで鈍く重い頭が覚醒してくる。

目を開けなきゃ。

俺は重い瞼に必死で意識を集中して、ゆっくりと持ち上げていく。


「どこだ……ここ」


目の前に広がる天井は見た事がない。

レクスオールの屋敷でもヴィレンセ侯爵家の天井でもない。


「地獄じゃない……な」


てっきり地獄に落ちたとばかり思っていたが、ベッドに寝ているのでそうではないらしい。

相変わらず背中が痛いので、どうやら俺は生きているらしい。


「レクスオール様、お目覚めですか?」

「あなたは?」

「私は王宮医官のベンジャミンと申します。王命によりレクスオール様のお身体を見させていただいておりました」

「王命……」

「はい、陛下より絶対に助けるようにと厳命されておりましたので目を覚まされてホッといたしました。なにしろ五日間も寝たきりでしたから」

「五日ですか」


ベンジャミンさんと話しているうちに、頭がはっきりしてきて思い出してきた。


「すいません。アリューレ、アリューレ・ヴィレンセは無事ですか! あと陛下は?」

「お二人ともご無事ですよ。レクスオール様の身を挺した行動で助かったと陛下もおっしゃっていました。それにしても陛下の前とはレクスオール様にとってよほどアリューレ様は大事な方なのですね」

「そういうわけでは」


ベンジャミンさんから聞いた話では、あのあと襲ってきた賊は、警備の騎士たちによって全員倒されたらしい。

簡単に倒す事ができるのなら、なぜ警備を抜いてあそこに侵入できたのか不思議だが、やはり目的は陛下の命だったようで、王冠を持った俺があの場に倒れた事で賊の動きが止まり、結果被害が広がらずに済んだらしい。

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