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婚約?


「ラティス君、いやラティス殿と呼んだ方がいいかな。無事陞爵の儀も終えたようで何よりだ。これで晴れて貴族の仲間入りだね」

「フェルナンド様、そのような。今まで通りでお願いします」

「そうかい。陛下より盾と槍にとお言葉があったようだね。それをラティス君も受けてくれたようで。今日若き護国の英雄が誕生したのかもしれないね」

「フェルナンド様が、なぜその事を。しかも護国の英雄。さすがにそれは……」

「まあ、全てはこれからだよ。私もラティス君には期待しているよ」

「ありがとうございます」


俺達は王宮から寄り道せずにまっすぐ帰ってきたというのに、なんで俺がここに着く前にフェルナンド様が陛下とのやりとりを知っているのか。

いったいこの時代の伝達網はどうなってるんだ。

もしかして失われた魔法かなにかを使ってたりしているのかと疑いたくなるレベルだぞ。

王都の連絡網事情に戦慄を覚えながらも、遅れたりしたら一大事なのでパーティーに向けて例の白いタキシードに着替える。

こんな派手な衣装着たのも見るのも初めてだが、ヴィレンセ侯爵家の方々はやたらと褒めてくれるので、パーティーの衣装はこれが普通なのかもしれない。

しばらく待っていると真っ赤なドレスに身を包んだアリューレが支度を終えて降りてきた。

素でも十分可愛いのにパーティードレスに身を包んだアリューレはまさしく物語に登場する姫そのもの。

あまりの可愛さに思わず見惚れてしまった。


「ラティス、どうでしょうか」

「……うん、いいと思います」

「ラティスが気に入ってくれてよかったです」


これはいいという言葉しか浮かんでこない。


「うんうん、二人ともよく似合ってるね」

「そうね。二人ともお似合いだわ。ラティス君も無事貴族の仲間入りを果たしたしこのまま婚約とかでもいいかもしれませんね」

「お母様!」

「それはいい考えかもしれないね」

「お父様まで!」


ヴィクトリア様とフェルナンド様の悪ノリが過ぎる。

おふたりにからかわれたアリューレが、あたふたして困ってしまっているが、普段見ることのない姿なのでこれはこれでかわいい。


「アリューレが躊躇するなら私が立候補しようかしら」

「〜〜〜お姉さま」


侯爵家の方々は本当に仲がいい。

俺には兄弟はいないので、お二人の仲の良さは羨ましいし、少し自分の両親の事を思い出してしまう。

アリューレを揶揄い終えてから、フェルナンド様と一緒に馬車へと乗り王宮へと再び戻る事となった。


「ラティス君、これは割と真面目な話なんだけど、パーティーでは余り一人にならない方がいいかな」

「え〜とそれは?」

「ラティス君が主賓だから、参加している女性達が放っておかないと思うんだ」

「放っておかないというのは」

「もちろん将来有望な新たな貴族家の若き当主に唾をつけときたい御令嬢もいっぱいいるって事だよ」

「ははは、それはないでしょう」


いくらなんでも準男爵に過ぎない俺に対してそんな事は無いと思うけど、フェルナンド様の目は笑っていなかった。


「そんなことあるんですか」

「あるだろうね」

「ラティス、私が隣にいますから大丈夫です。お父様も安心してください」

「まあ、アリューレと一緒にいれば、まあ大丈夫だとは思うけどね」


王宮のパーティーで貴族の御令嬢に囲まれるなんていうのは、男である以上一度は夢見た事がある。

だけど実際にそうなってしまうと今の俺では対処のしようがないのでアリューレが一緒に参加することになって本当に助かった。

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