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「はっ」

陞爵当日、紺色の正装服に着替え、王宮へと臨む。

王宮に着くとブルック様が応対してくれたが、俺一人が先日とは違う部屋へと通され、ギルバート達は式が終わるまで別室で控える事になった。

あ〜緊張してきた。

ブルック様が今日の流れを説明してくれるが、粗相が無いよう一言一句聞き漏らさないよう必死で脳内に留める。

説明が終わると早速ブルック様に連れられ、王様の御前へと連れられていった。

大きな扉が開くとそこには本でしか読んだ事のない、広い部屋が広がっていて正面の上段に玉座が設置されており、そこには国王陛下が鎮座されていた。

それなりに高齢に見えるが、真っ白な髪と合わさり少し体調がすぐれない様にも思えるが、初めて見るお姿なのでハッキリとはわからない。

国王陛下の横には王妃様と思しき女性が並び、お二人の全面左右には要職についているであろう人達が並んで立っている。


「ラティス・レクスオール前へ」

「はい」


ブルック様から説明を受けていた通り声がかかり部屋へと入る。

その瞬間、周囲の視線と何より国王陛下と王妃様の視線にあてられて足が竦んでしまうが、意識を集中させどうにか足を前へと運ぶ。

中程のところまで進みその場で膝をおり傅き、国王陛下からの言葉を待つが、その間の沈黙は永遠かのように感じられるほどに長く自分の心音だけが激しく聞こえてきた。


「そのほうが若き英雄と囃されるラティス・レクスオールであるか」

「はっ」

「話によると家督を継いでから連戦連勝だそうだな」

「はっ」

「戦場を駆けるその姿はグリフォンの化身のようだとも聞いたが」

「はっ」


ブルック様からはなにを言われても「はっ」と返事をする様にと言われていたので、そのように返答するが王様から英雄とかグリフォンの化身とか言われて、それを肯定するかのような返事をしているが本当に大丈夫なのか?


「今日初めて見るが、確かに英雄の相を持っているようだな」

「はっ」

「なにやらヴィレンセの娘も野盗からすくったそうだな」

「はっ」

「ラティス・レクスオール、その力この国のそして我の為に使ってくれるか?」

「はっ」

「残念ながら我の力不足であろう。我には敵も多い。そなたは我の盾となり槍となる覚悟があるか」

「はっ」

「その言葉相違ないな」

「はっ」

「皆の者聞いたであろう。今日この時を持って若き英雄、グリフォンの化身たるラティス・レクスオールは我の盾となり槍となった。めでたいの」

「はっ」

「ラティス・レクスオール、今よりそのほうをラティス・レクスオール準男爵とする」

「はっ」

「いかなる時も我の盾となり槍となり敵を打ち果たすのだ。期待しておるぞ」

「はっ」


長いやりとりの末に、俺は本当に準男爵へと陞爵された。

その後、ブルック様の先導で退室の運びとなったがあまりの緊張から全身の力が抜ける。

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