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5話 スコーピオン

「若、もちろんわかられておられるとは思いますが、ここでレクスオールが踏ん張らねばベルメール軍も耐えきれなくなってしまいます。名誉あるしんがりを任されたからには見事役目を果たしましょうぞ」

「ちょ、ちょっと待って!」


本来リクエ軍とベルメール軍の戦いのはずなのに、周囲にはレクスオール軍以外の味方がいないことに違和感を感じてはいた。

ギルバートさんの言葉。しんがりを任されたって……

しんがりって撤退する軍の一番後ろの意味だよな。

本体が逃げ切れるように犠牲になって死んでいくアレか?

そんなバカな!

名誉なんかいらないから、どうにかしてここから逃げたい!!


「ギ、ギルバートさん、逃げ……」

「若! 前方にリクエ子爵軍本体です」

「ちょっとまって! あれがリクエの本体って。一体どれだけいるんだ」

「その数およそ三千です」

「三千って、こっちは!?」

「ベルメール男爵軍が千五百となります」

「いや、レクスオールは?」

「レクスオール家は精鋭百二十となります」

「百二十……」


リクエ軍三千に対して百二十で対抗?

そんなの絶対ムリ!!

まだかなり距離はあるが確かに敵がこちらに向けて行軍してきているのが見える。本当に三千いるのかはわからないが、味方とは比較にならない大群であることはわかる。

まだ距離があるのと俺たちのいる場所が高台にあるおかげで敵の全容が見て取れる。

敵の大群を見た瞬間、脳裏に何かが降りてきた。

この布陣どこかで……

リクエ子爵軍は数が多い利点を活かして逆三角形のような布陣を敷いている。

前衛に立つ数を増やし、レクスオールを一気に飲み込むつもりだろう。

リクエ子爵軍にこの特徴的な逆三角形の布陣。

たしかに覚えがある。

間違いない。この陣形レクスオール戦記にあった。


「ギルバートさん、もしかしてここはダリル台地ですか?」

「若、私に呼称は必要ありません。そうですね、この辺りはダリル台地です」


やっぱりそうか。

頭の中に擦り切れるほど読み込んだレクスオール戦記の一ページ浮かんでくる。

ダリル台地での戦いにおいてラティスは単騎で正面から総勢三千リクエ子爵全軍を押さえ込み、その間に自軍を敵軍の側面へと回り込ませ大打撃を与えたはずだ。

確かに眼前に広がるリクエ子爵軍を見る限り三千という数に誤りはなさそうだ。この逆三角の布陣は確かに覚えがある。


『スコーピオン』


正面から当たり、押し込みながら両翼が展開してサソリのハサミのように囲い込み敵を崩す。

あまり一般的な布陣ではないが、リクエが必勝を期して決戦の地で使用した布陣。

ここまで来たらやるしかないのか?

正直ここまで来ても頭と身体が全くついてきていない。

この異様な雰囲気。気を抜くとプレッシャーに押しつぶされ一瞬で吐いてしまいそうになる。

逃げられない以上、どうにかするしかないが、問題はこの数の敵をわずかな時間とはいえ単騎で押さえ込むなんて事が可能かどうかだ。

歴史上のラティスなら超常的力でそれが可能だったのかもしれないが、俺には絶対無理だ。

いや、俺でなくとも常人には無理。ましてや戦闘経験が皆無の俺にできるはずもない。

百二十対三千の戦い。

絶望的な戦い。いやそもそもまともな戦いにすらなっていない。

だけどやるしかない。

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